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インビザライン矯正を行う男性の口元

インビザラインのゴムかけとは?目的や種類、注意点を解説!

2023年8月26日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

インビザラインのゴムかけとは、マウスピースに取り付けた突起物やフックにゴムを引っかけて矯正力を高める方法です。ゴムの張力を利用して、インビザライン矯正を効率的に進める役割を果たします。

今回は、インビザラインのゴムかけについて、目的や種類、注意点を解説します。

インビザラインのゴムかけとは?

顎に手を当てて考える白い服の女性

インビザラインのゴムかけとは、歯科矯正における補助的な処置です。上下の歯やマウスピースに小さなゴムを取り付けて、歯の細かい位置調整や矯正の効果を向上させます。

顎間ゴムやエラスティックゴムともよばれ、ゴムの反発力を利用して歯を希望の位置へと導きます。ゴムを誤って飲み込んだとしても、体内で消化されずに排出されるので、心配は不要です。

ゴムを固定するためには、歯やマウスピースにボタンという小さな突起物やフックを取り付ける必要があります。ボタンには、金属製やプラスチック製のものがあり、症状や位置に応じて適切なものが選ばれます。

特に、金属アレルギーの患者さまは、使用する材料に注意が必要です。事前に医師に金属アレルギーの有無を伝えることを忘れないでください。

インビザラインのゴムかけの目的

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インビザラインのゴムかけは、直接歯を動かすのではなく、主に上下の歯のズレや噛み合わせを整えることを目的に行われます。矯正のシミュレーションに従い、歯を計画どおりの位置に移動させる際の補助としてゴムかけを行うのです。

使用されるゴムの大きさは、直径3~6mm程度で、矯正の効果を最大限に引き出すことができます。

インビザラインのゴムかけの種類

机に置かれたカードのうちの一枚を選ぶ男性の手

インビザラインのゴムかけは4種類あります。動かし方や症例によって、使用されるゴムが異なるのです。ゴムかけの種類は、以下のとおりです。

Ⅱ級ゴム

Ⅱ級ゴムは、出っ歯(上顎前突)の治療に用いられます。出っ歯は、上の前歯が過度に前方に突出している状態のことです。

Ⅱ級ゴムは、下の歯列の後方から上の歯列の前方へとゴムを引っ張るように装着します。ゴムの張力によって、上の前歯を後方に引き込む動きを促進し、下の歯列を前方に移動させるよう働きかけるのです。

Ⅲ級ゴム

Ⅲ級ゴムは、受け口(下顎前突)の治療に用いられます。受け口とは、下の前歯が上の前歯よりも前方に位置している状態です。

Ⅲ級ゴムは、上の歯列の後方から下の歯列の前方へとゴムを引っ張る形で装着します。ゴムの張力により、下の前歯を後方へ移動させる動きを助けます。下の前歯が後退し、受け口の状態が徐々に正常な位置へと戻るのです。

Ⅲ級ゴムは、下の前歯を後方に引き込む効果があります。受け口の治療に効果的に対応することができ、適切な噛み合わせと整った顔のバランスを目指すことが可能になるでしょう。

垂直ゴム

垂直ゴムは、開咬を修正するために使用されます。開咬とは、通常の噛み合わせの状態では接触するはずの上下の歯が、何らかの理由で離れている状態をです。口を閉じても前歯や奥歯が接触せず、すき間が生じます。

垂直ゴムは、その名の通り垂直的に上下の歯列に装着されます。ゴムの張力によって、歯を上方もしくは下方に引き寄せ、歯を引っ張り出す挺出という動きを促すのです。

交叉ゴム

交叉ゴムは、交叉咬合や鋏状咬合(はさみじょうこうごう)の改善に用いられるゴムです。交叉咬合とは、上の歯が下の歯の内側に位置している状態を指します。

正常な噛み合わせでは、上の歯が下の歯をわずかに覆いますが、位置関係が逆転した状態が交叉咬合です。鋏状咬合は、上下の歯が鋏のようにすれ違い、適切に噛むことができない状態です。

これらの症状を修正するために、交叉ゴムが使用されます。ゴムは、歯の移動を助ける力を供給する役割を果たします。交叉ゴムの張力により、交叉咬合や鋏状咬合の状態を改善する方向へ歯をゆっくりと動かすのです。

インビザラインのゴムかけは1日何時間?

青い背景に置かれた赤い時計

インビザラインのゴムかけはマウスピースの装着時間と同様、1日20~22時間とされています。そのため、マウスピースをつけている間は、常にゴムかけも行っている状態です。

ただし、インビザラインのゴムかけの時間は、歯並びの状態や担当する歯科医師の判断により異なります。夜間だけの装着を指示される場合もあるでしょう。

インビザラインのゴムかけをする期間

机に置かれたカレンダーと植物

インビザラインのゴムかけをするタイミングや期間は、患者さまの口の中の状態や治療の進行度によって異なります。

初めから歯並びや噛み合わせが比較的整っている場合、ゴムかけを早い段階で開始することができるでしょう。出っ歯や叢生など矯正に時間がかかる症状の場合、治療の中盤から後半にゴムを使用するのが一般的です。

ゴムかけは、噛み合わせの最終調整だけでなく、特定の歯の動きを促進する効果も期待できます。そのため、いつからゴムかけをするかは一概にはいえず、患者さま一人ひとりの状態や治療計画によって最適な時期が選ばれます。

ゴムを使用する期間についても、噛み合わせの状態によって異なるでしょう。簡単な調整の場合、1か月程度でゴムかけを終えることもありますが、大きなズレがある場合は半年以上の使用が必要になることもあります。

インビザラインのゴムかけに関する注意点

黄色い背景に置かれた!マーク

インビザラインのゴムかけは、マウスピースと同様に自分で行う必要があります。インビザラインのゴムかけに関する注意点は、以下のとおりです。

正しく装着する

インビザライン矯正におけるゴムかけは、初めて行う場合難易度が高いと感じることがあります。マウスピースに取り付けられた突起状のボタンが非常に小さいため、ゴムを引っ掛けるのが難しいのです。

ゴムを取り扱うエラスティックホルダーの正しい使い方や、どの大きさのゴムを使用すべきかなどの具体的な指示は、歯科医師がお伝えします。指示を正確に理解し、適切にゴムかけを行えるようにしてください。

最初のうちは、ゴムを取り付けるのに手間取るでしょう。繰り返し行ううちに徐々に慣れるので、焦らず少しずつ習得してください。

装着時間を守る

ゴムかけは、マウスピースを装着する時間と同じ時間、つまり1日20~22時間つけ続けなければなりません。食事や歯磨きのためにマウスピースを外した際は、再度マウスピースを装着するときにゴムも一緒に装着する必要があります。

指示された時間よりもゴムかけの時間が短いと、治療が計画どおりに進行しません。インビザライン矯正の効果を最大化し、予定された期間内に治療を終えるためには、ゴムの装着時間を守ることが非常に重要といえるでしょう。

毎日ゴムを取り替える

ゴムは、毎日新しいものに取り換えるのが基本です。

いくらきれいな状態だと感じても、2日以上同じものを使用するのは避けましょう。何日も同じゴムを使い続けと、ゴムの伸縮性が低下してゴムかけの効果が十分に得られなくなるからです。日々の使用でゴムは一定の伸縮性を失うため、新しいものに変えることで矯正の効果を保つことができます。

ゴムが切れた場合は、切れた方だけでなくもう一方も新しいゴムに取り替えてください。片方だけ交換すると、ゴムの伸縮性が左右で変化し噛み合わせの調整に悪影響を及ぼす可能性があります。

予備のゴムを持ち歩く

ゴムかけを行っている途中でゴムが切れた場合、すぐに新しいものに交換しなくてはいけません。日常の外出や、特に長期の旅行などを計画する際は、ゴムとホルダーを必ず携帯しましょう。

長期間の移動や滞在を予定している場合は、突然の事態やトラブルを想定して、通常以上に多く予備のゴムを携帯してください。

まとめ

マウスピースを手で持って掲げる

インビザラインのゴムかけは、インビザライン矯正の精度を上げるために非常に重要です。ゴムかけには4つの種類があり、それぞれ対象とする症例が異なります。

装着時間は1日20~22時間以上と、マウスピースと同様です。ゴムかけを指示されている期間は、マウスピースを装着したら同時にゴムかけも行いましょう。装着期間は歯並びや治療の進行具合によって異なります。

ゴムかけの装着時間が短いと、治療が計画どおりに進まない可能性があります。そのため、外出時には予備のゴムを持ち歩きましょう。

インビザライン矯正の効果を最大限引き出すためには、ゴムかけの取り扱いが重要です。

インビザライン矯正を検討している方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。

黒い机に置かれたマウスピースと専用のケース

矯正中にマウスピースが浮く原因と対処法をわかりやすく解説!

2023年7月11日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

「マウスピースが浮く」とは、何らかの理由でマウスピースが歯に密着しておらず、歯とマウスピースにすき間ができている状態のことをいいます。

マウスピース矯正は、薄い透明のマウスピースを装着することで歯並びを整える矯正治療です。マウスピースと歯の間にすき間があると、歯並びが整わないなどのトラブルの原因になるかもしれません。

今回は、マウスピースが浮く原因やマウスピースが浮く際にできる対処法を解説します。マウスピース矯正中の方は、ぜひ参考にしてください。

マウスピースが浮くとはどのような状態?

マウスピースを歯に装着する女性の口元

何らかの理由でマウスピースが歯に密着できていないことで、歯とマウスピースにすき間ができている状態のことを、マウスピースが浮くといいます。以下、部位ごとに解説します。

前歯が浮くケース

前から数えて2、3番目の歯が浮くことが多いです。原因としては、前歯にアタッチメントをつけていないことが挙げられます。

アタッチメントとは、歯の表面に固定するボタンのようなもので、歯とマウスピースを密着させ、効率的に矯正治療をすすめる目的で利用されます。アタッチメントは歯に近い色なので目立ちにくいですが、前歯だと見えることもあるため装着しない方も多いです。

歯とマウスピースが密着せず、前歯部分のマウスピースが浮くことがあるでしょう。

奥歯が浮くケース

奥歯は、前歯に比べて高さがないので、マウスピースが浮くことがあります。前歯よりも奥歯の高さが低いことで、歯とマウスピースが密着しづらいことが原因です。

また、マウスピース矯正では、食事や歯磨き以外の時間は常にマウスピースを装着しなければなりません。マウスピースの厚さは0.5mm程度ですが、上下の歯に装着すると1mm程度の厚みになります。マウスピースの厚み分、前歯よりも先に奥歯が噛み合って奥歯が沈み込むことで、奥歯が浮いたように感じることがあります。

特に、食いしばりや歯ぎしりがある方は、奥歯部分のマウスピースが浮きやすいでしょう。

1本だけ浮くケース

前歯の2、3番目の歯が1本だけ浮くことが多いといわれています。ほかの歯に比べて歯が小さいことや、前歯の移動量が多いためにうまく歯が動いていないことが原因といえるでしょう。

歯の高さが足りない場合は、歯を引っ張る挺出(ていしゅつ)という処置が必要になることもあります。

歯の根元が浮くケース

歯の根元だけが浮くケースは、マウスピースの装着の仕方に問題がある場合が多いです。

新しいマウスピースは歯の根元まで入りづらいですが、交換後2〜3日である程度歯が移動し、改善されるでしょう。

一部だけ浮くケース

一部の歯だけが浮くケースは、マウスピースが適切に装着できていない、装着時間が守れていないなど、さまざまな理由が考えられます。

マウスピースの装着方法を見直しても改善しない場合は、歯科医師に相談しましょう。

マウスピースが浮くのは大丈夫?

顎に手を当てて悩むシャツの女性

マウスピースから1mm未満浮くのであれば徐々に改善されることが多いため、基本的には問題ありません。初めてマウスピースを装着したときや新しいマウスピースに交換した直後は、2〜3日程度様子をみましょう。

ただし、マウスピースが1mm以上浮いている場合は、何らかの問題が起きている可能性があります。なるべく早く歯科医師に相談してください。

マウスピースが浮く原因

下を指差す青い服を着た女性

マウスピースが浮く原因は、以下のとおりです。

マウスピースが馴染んでいない

新しいマウスピースの装着後2〜3日間は、マウスピースの形に合わせて歯が動く期間です。マウスピース矯正を開始した直後やマウスピースを交換した直後は、歯並びとマウスピースの形状のずれが大きいため、マウスピースが浮くことがあります。

歯が動くことで徐々に改善されることが多いので、しばらく様子をみましょう。

マウスピースの装着時間が短い

マウスピース矯正は、1日20時間〜22時間以上マウスピースを装着しなければいけません。装着時間が短いと、予定している位置までスムーズに歯が動かず、マウスピースが浮くことがあります。

マウスピースの取り外し回数が多い

1日に何度もマウスピースを取り外すと、マウスピースの変形や破損を引き起こし、マウスピースが浮く原因になります。

取り外し回数が多いと、マウスピースの装着時間も短くなるでしょう。食事や歯磨き以外の時間は装着しましょう。

治療計画どおりに歯が動いていない

マウスピース矯正では、治療計画をもとにマウスピースを作成します。

しかし、歯の動き方には個人差があるため、実際に治療を始めると治療計画どおりに歯が動かないことがあります。予定した位置に歯が動かないことで、マウスピースが浮くと考えられるでしょう。このような場合は、歯科医師に相談しましょう。治療計画の見直しをしたほうがよいかもしれません。

マウスピースの順番を守っていない

マウスピース矯正は、治療前に1回歯型を採取することで、治療終了までに必要なマウスピースを一括で製作できます。

マウスピースの順番はわかるようになっていますが、1つ先のマウスピースを装着するなど、マウスピースの順番を間違えるとマウスピースが浮くため注意が必要です。

チューイーを使用していない

チューイーとは、マウスピースを装着する際に使用する、歯とマウスピースを密着させるためのツールです。

マウスピースが浮く場合は、チューイーを使用して正しくマウスピースを装着しましょう。

マウスピースが破損している

マウスピースの破損や変形は、マウスピースが浮く原因になります。特に、歯ぎしりや食いしばりのある方は、マウスピースが破損しやすいため注意が必要です。

変形や破損、紛失の原因になるのは、マウスピースを外したときにティッシュなどに包んで保管した場合などです。マウスピースを破損・紛失すると、マウスピースの作り直しが必要になってしまいますので、マウスピースを外したときは専用のケースに入れて保管しましょう。

マウスピースが浮くときの対処法

鏡で自分の歯の状態を確認する女性

マウスピースが浮くときの対処法は、以下のとおりです。

マウスピースの装着時間を守る

マウスピースの装着時間が短い、マウスピースをつけ忘れる日が多いなど、マウスピースの装着時間を守っていないと、マウスピースが浮く原因になります。1日の取り外し回数が多いことも装着時間が短くなる要因です。

マウスピースの装着時間を守れているか見直しましょう。

チューイーを使用する

正しくマウスピースを装着できていないと、マウスピースが浮きます。

新しいマウスピースを装着するときは、しっかりチューイーを噛む、マウスピースが浮く部分は重点的に噛むなどで対処しましょう。

1つ前のマウスピースの装着期間を長くする

予定している位置に歯が動いていない場合、1つ前のマウスピースの装着期間を延ばすことで、マウスピースの浮きを改善できることがあります。歯が動いていないのに新しいマウスピースに交換すると、予定外の方向に歯が動く原因にもなります。

1つ前のマウスピースの装着期間を延ばすなど、治療計画どおりの位置に歯を動かすことが大切です。

歯科医師に相談する

前歯が浮く、歯とマウスピースの間が1mm以上浮いているなどの症状がみられる場合は、なるべく早く歯科医師に相談しましょう。

歯科医院では、主に以下の対処がなされます。

・追加でマウスピースを作成する

・部分的にワイヤー矯正を行う

・顎間ゴムをかける

予定した位置まで歯が動いていない場合、追加でマウスピースを作り、治療計画の修正をしなければいけません。マウスピースの作成には1か月程度必要なため、その分、費用や期間がかかるでしょう。

歯の移動がスムーズに行われないことが原因でマウスピースが浮く場合、部分的にワイヤー矯正を行う、顎間ゴムをかけるなど、マウスピース矯正とほかの矯正方法を併用することがあります。

マウスピースが浮くことで、計画どおりに治療がすすまない、予定外の方向に歯が動くなどのトラブルが起きる可能性があります。マウスピースが浮く場合は、歯科医師に相談しましょう。

まとめ

机の上に置かれた歯科用器具とカルテとマウスピース

「マウスピースが浮く」とは、歯とマウスピースが密着していないことで、すき間ができている状態のことです。マウスピースが浮く原因としては、装着時間が短い、アタッチメントを装着していない、チューイーを使用していないなどが挙げられます。

新しいマウスピースに交換した直後にマウスピースが浮くことがありますが、徐々に歯が動いて改善されるため、1mm程度であれば問題ありません。1mm以上マウスピースが浮いている場合は、装着時間を守る、チューイーを噛むなどで対応し、改善しない場合は歯科医師に相談しましょう。

マウスピース矯正でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。

頬を手でおさえて痛がっている人2

マウスピース矯正中の痛みの原因!対処法と注意点も解説!

2023年4月28日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べると痛みは少ないといわれています。

しかし、個人差があるので、患者さまによっては痛みを感じることもあるでしょう。マウスピース矯正によって歯が痛いと感じる原因の多くは、歯を動かすために歯に力をかけることです。

歯が動いていることで痛みを感じている場合、2~3日で治まることがほとんどですが、長引くなら何かしらのトラブルが原因かもしれません。例えば、歯が後戻りしてしまった場合やマウスピースの縁がとがっている場合が挙げられます。このような場合は、自己判断でマウスピースを長時間外さず、歯科医師に相談しましょう。

今回は、マウスピース矯正によって歯が痛みを感じる6つの原因と対処法を解説します。マウスピース矯正で歯に痛みがあるときにやってはいけない3つの注意点もご紹介しますので、マウスピース矯正中の方はぜひ参考にしてください。

マウスピース矯正中の痛みの原因

頬を手でおさえて痛がっている人1

マウスピース矯正中に起こる痛みの原因は、主に以下の6つです。

歯が動くことによる痛み

マウスピース矯正は、マウスピースを1日20~22時間装着して歯並びをととのえる治療法です。通常、歯はしっかりとした骨に支えられているため、簡単には動きません。

しかし、継続的に力をくわえることで、歯の周りの骨が変形し、徐々に歯が移動し始めます。歯に負荷をかけることで歯並びをととのえるので、マウスピースを初めて装着したときや交換したときなど、歯の動き始めは最も痛みを感じやすくなるでしょう。

痛みのピークはマウスピース装着後の2~3日といわれていますが、1週間もすれば歯が移動して落ち着くことが多いです。

噛み合わせたことによる痛み

マウスピース矯正は、食事などで上下の歯を噛み合わせたときにも痛みを感じることがあります。

矯正治療中は歯が敏感になるため、噛み合わせることで刺激がくわわり、痛みが出る場合があります。特に、硬いものや噛みごたえのあるものを食べると、痛みを感じやすくなるでしょう。

マウスピースの縁があたる痛み

マウスピースの縁が、歯茎や頬にあたって痛みを感じることもあります。

歯茎や頬に長時間あたると、出血や炎症、口内炎の原因になるので、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。

アタッチメントによる痛み

マウスピース矯正は、アタッチメントという白い突起物を直接歯につけることがあります。アタッチメントをつける目的は、マウスピースと歯をしっかり密着させ、より効果的に歯を移動させることです。アタッチメントは歯に直接つけるものですが、マウスピースをつけているとおおわれるため、ふだん違和感があることは少ないでしょう。

しかし、マウスピースを取り外すときに引っかかり、痛みを感じる場合があります。また、食事のときに、アタッチメントのとがっている部分が頬にあたって痛いと感じることがあるかもしれません。

顎間ゴムによる痛み

マウスピース矯正は、より効果的に矯正治療を進めるために、顎間ゴムを装着することがあります。顎間ゴムとは、上下の歯にゴムをつけることで歯を引っ張る力を強め、噛み合わせや顎の位置をコントロールするものです。

マウスピースを装着したときと同じく、顎間ゴムを装着したあとの2~3日は痛みを感じることがあります。

しかし、痛いからといって自己判断でやめてしまうと、思った効果が得られません。歯が移動することで徐々に痛みは落ち着きますが、数日たっても痛みが治まらない場合は、歯科医院を受診しましょう。

歯が後戻りすることによる痛み

マウスピースの装着時間が短いことで歯が後戻りした場合、マウスピースを装着したときに痛みを感じることがあります。

マウスピース矯正は、マウスピースを1日20~22時間以上装着しなければ、十分な矯正効果が得られません。矯正治療中の歯は、しばらく力がかからないと、もとの位置に戻ろうとします。

マウスピースの装着時間をしっかり守れば、痛みを感じることはありません。治療がうまく進まない原因になるので、必ず装着時間を守りましょう。

マウスピース矯正中の痛みの対処法

ドミノを手で止めている

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて痛みを感じることは少ないといわれています。なぜなら、ワイヤー矯正は一気に歯に力をかけて歯を動かす治療法なのに対し、マウスピース矯正はマウスピースを何枚も使用し、徐々に歯を動かす治療だからです。

マウスピース矯正による痛みは、窮屈感や違和感、圧迫感はありますが、強い痛みを感じることは少ないでしょう。

しかし、痛みは個人差があるので、強い痛みを感じる場合があるかもしれません。マウスピース矯正中の痛みに対する3つの対処法は、以下のとおりです。

痛み止めを服用する

マウスピースを初めて装着したときやマウスピースを交換したとき、顎間ゴムを装着したときなどは歯に強い力がかかり、痛みを感じやすいです。

2~3日で落ち着くことがほとんどですが、痛みが強い場合や耐えられない場合は痛み止めを服用するとよいでしょう。

やわらかい食べ物を食べる

マウスピース矯正中は、歯だけでなく、歯の周りにある組織も敏感なので、食事のときに痛みを感じやすいでしょう。

食事のときに感じる噛みごたえや噛み心地は、歯ではなく歯の周りの歯根膜で感じています。そのため、硬いものや咀嚼回数が多いものを食べたときは、痛みを感じやすいです。

マウスピース矯正中は、できるだけ刺激の少ないやわらかい食べ物がよいでしょう。特に、マウスピースを初めて装着したときや交換したときは痛みやすいので、以下のような食事をとるのがよいでしょう。

・茶碗蒸しなどの卵料理

・シチューなどの煮込み料理

・麺類

・おかゆ、リゾット

・麺類

・ヨーグルト

噛みちぎると前歯が痛くなる場合があるので、あらかじめ一口サイズに切っておきましょう。また、奥歯を噛み合わせたときに痛みを感じる場合は、やわらかい食べ物や煮込み料理などを食べるのがよいでしょう。

マウスピースの縁を削る

マウスピースの研磨不足などが原因で、マウスピースの縁が歯茎や粘膜にあたって痛い場合は、縁のとがった部分を少し調整しましょう。

縁のとがった部分があるかぎり、痛みはとりのぞけません。やすりなどでとがった部分を削り、丸みをもたせるとよいでしょう。

ただし、削りすぎるとマウスピースの変形の原因や、矯正力が弱まることにつながります。ご自身で調整するのが不安な場合や調整しても痛みが続く場合は、歯科医師に相談しましょう。

マウスピース矯正中に痛みを感じるときの注意点

片手で注意をうながす

マウスピース矯正中に痛みを感じるときにやってはいけない注意点は、以下のとおりです。

マウスピースを長時間外さない

マウスピース矯正は、1日20~22時間、食事や歯磨き以外のほとんどの時間でマウスピースを装着しないと矯正の効果が得られません。痛みがあるからといって自己判断でマウスピースを長時間外すと、歯が後戻りする原因となります。

歯が後戻りすると、マウスピースの追加や作り直しが必要になるかもしれません。計画どおりに治療が進まないと、治療期間が延びるだけでなく、追加費用もかかります。

マウスピース矯正で痛みを感じる原因の多くは「歯を動かすために、歯に力をかけていること」です。歯が動き始める2~3日は痛みを感じることがありますが、1週間以内に落ち着きます。何日か様子をみても痛みが治まらない場合は、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。

市販の痛み止めを繰り返し服用しない

マウスピース矯正中の痛みの対処法として痛み止めの服用をご紹介しましたが、用法、用量は必ず守りましょう。

市販の痛み止めを繰り返し服用すると、抗炎症作用で歯の移動を遅らせる可能性があります。また、消化器官に負担をあたえることにつながるので、痛みが気になる場合は歯科医院で痛み止めを処方してもらいましょう。

刺激をあたえない

マウスピース矯正で痛みを感じるときに、刺激をあたえることでさらに痛みが増す場合があります。特に、以下の刺激には注意しましょう。

・硬いものや噛みごたえのあるものを食べる

・患部を冷やす

・患部を温める

マウスピース矯正中の歯は、歯に力をくわえて歯を動かしているため、不安定な状態です。そのため、硬いものや噛みごたえのあるものを噛むと、余計な力がかかり、痛みを感じやすくなります。

また、痛いからといって患部を冷やしたり温めたりしても効果はありません。冷やすことで血のめぐりが悪くなり、歯の動きを遅らせることにつながります。反対に、温めることで血流がよくなると、強く痛みを感じることがあるかもしれません。

マウスピース矯正によって痛みを感じるときは、刺激をあたえることで、さらに痛くなったり治療が遅れたりする場合があるので注意しましょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べると痛みが少ないといわれていますが、マウスピースを初めて装着したときや交換したとき、顎間ゴムをつけたときなど、歯が動くことで痛みを感じることもあるでしょう。顎の骨にしっかりと支えられている歯を動かすので、少なからず痛みを感じるのは仕方ありません。

しかし、痛いからといって自己判断でマウスピースを長時間外すと、歯が後戻りする原因になります。マウスピース矯正中はマウスピースの装着時間を必ず守り、痛みが続く場合は我慢せずに歯科医院を受診しましょう。

マウスピース矯正中の痛みでお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。