こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
インビザラインなどの歯列矯正は自由診療になるため、治療費が高額です。費用が高いことがネックで、矯正治療を迷われている方も多いでしょう。医療費控除を受けられれば、費用の負担が軽減できます。
今回は、インビザライン矯正における医療費控除の手続きや医療費控除の対象となるものについて詳しく解説します。インビザラインだけでなくワイヤー矯正の場合も同様ですので、矯正を迷われている方や矯正中の方はぜひ参考にしてください。
医療費控除とは
医療費控除は、1年間の医療費が一定の額を超えた場合に、受けられる所得控除のことです。1年間とは、1月1日から12月31までです。所得控除には、医療費控除のほかに、扶養控除、配偶者控除などがあります。
医療費控除を受けるには、確定申告で書類を申請する必要があります。個人事業主の方は、毎年の確定申告で医療費控除を申請します。サラリーマンの方が医療費控除を受けるには、年末調整ではなく、個人で確定申告をする必要があります。
いずれの場合も、確定申告で医療費控除を申請することにより、毎月給料から引かれている所得税の一部が還付される仕組みです。
参照:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
医療費控除の対象となる家族の範囲
医療費控除は、生計をともにしている家族の分をまとめて申請できます。
共働きで配偶者の扶養に入っていない場合でも、生計をともにしていると家族とみなされ、医療費を合算して申告可能です。また、遠方に住んでいるこどもの医療費や養っている両親の医療費もまとめて申請できます。
インビザラインは医療費控除の対象になる?
矯正費用も医療費に含まれるため、医療費控除の対象です。
ただし、医療費控除の対象となるには条件があり、同じインビザライン矯正でも医療費控除の対象になるケースとならないケースがあります。
例えば、噛み合わせの問題や不正歯列の改善に矯正が必要であると判断された場合、医療費控除の対象です。見た目をよくする目的のみの矯正は、医療費控除の対象になりません。ワイヤー矯正も同様です。
参照:国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
小児矯正の場合
こどもの矯正の場合、噛み合わせの問題や体の発育段階における治療の目的と判断されるため、基本的には医療費控除の対象です。治療目的の矯正となるかは担当の歯科医師が判断するため、分からない方は歯科医師に確認しましょう。
成人矯正の場合
大人のインビザライン矯正は、審美目的の場合もあるため注意が必要です。
ただし、患者本人が見た目の改善で矯正を始めた場合でも、歯科医師によって噛み合わせに問題があると判断された場合は、医療費控除の対象です。
医療費控除の対象になるかどうかは、矯正の診断書に治療の目的であると記入されているかどうかで決まります。管轄の税務署によって、判断が異なったり診断書の提出が求められたりする場合があります。詳しくは、担当医に確認したうえで、税務署に問い合わせるのがよいでしょう。
医療費控除の対象となるもの
インビザライン矯正において、医療費控除の対象になるのはマウスピースの費用や調整料だけではありません。以下のように、通院の交通費や検査料も医療費控除の対象です。
・マウスピースなどの装置費用
・通院ごとにかかる矯正の調整料
・レントゲンなどの検査料、矯正診断料
・病院に通院するために支払った交通費(電車やバスなどの公共交通機関)
・抜歯の費用、虫歯の治療費
・処方された痛み止め薬の費用
・付き添いの保護者の交通費
矯正治療以外の医療費としては、薬局で購入した医薬品やそのほかの病院の治療費も含まれます。
確定申告の際、添付する医療費通知書に治療費の記載があれば領収書が必要ない場合もありますが、医療費通知書に記載がなく領収書がなければ医療費控除の対象になりません。インビザライン矯正は自由診療のため、領収書は失くさないように大切に保管しましょう。
医療費控除の対象にならないもの
交通費や自費の歯科治療費でも、医療費控除の対象にならないものがあります。
・自家用車のガソリン代
・審美目的のセラミック治療の費用
・ホワイトニングの費用
審美目的のための治療は、医療費控除の対象にならないと覚えておくとよいでしょう。
医療費控除でいくら還付される?
所得税の税率や所得総額により、還付金の計算方法は異なります。医療費控除の計算方法やインビザライン矯正での医療費控除の還付金についてご紹介します。
医療費控除の計算方法
医療費控除の計算方法は、以下のとおりです。
A.医療費控除の金額=B.医療費などの合計額ーC.保険金などで受け取った金額-D.10万円または所得総額の5%の少ない額 |
A.医療費控除の金額の上限額は200万円です。
B.医療費の合計は、生計を共にする家族の医療費や通院のための交通費など、医療費控除の対象となるすべてを含めた金額です。
C.生命保険などで受け取った給付金や、支給された高額療養費を差し引きます。
D.その年の総所得が200万円以上の方は10万円、総所得が200万円未満の方は、総所得の5%の額を引きます。
還付金のシミュレーション
課税所得額が400万円の方を例に、インビザライン矯正をした場合、どのぐらい還付されるのかシミュレーションしてみましょう。
例えば、課税所得額が400万円、インビザライン矯正が130万円、保険金が0円の場合、「B.インビザラインの費用130万円-C.保険金0円-D.10万円=A.医療費控除の金額120万円」です。課税所得額が400万円の場合、所得税率が20%のため、医療費控除の金額120万円×0.2=24万円が還付されます。
実際は、B.には通院のための交通費や家族の医療費も含まれます。また、医療費控除以外の所得控除があると税率が変わる場合もあります。
上記の計算方法はあくまでも目安です。詳しくは管轄の税務署に問い合わせてください。
所得税の税率
課税される所得金額によって、所得税率は異なります。
課税所得額は、収入から控除額を差し引いた金額です。例えば、給与収入がある場合、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などが差し引かれます。課税所得額は、源泉徴収票に記載されています。
2023年現在の所得税の税率は、以下のとおりです。
<所得税の税率>
課税される所得金額 |
税率 |
1,000〜194万9,000円 |
5% |
195万〜329万9,000円 |
10% |
330万〜694万9,000円 |
20% |
695万〜899万9,000円 |
23% |
900万〜1,799万9,000円 |
33% |
1,800万〜3,999万9,000円 |
40% |
4,000万円〜 |
45% |
参照:国税庁「所得税の税率」
税率は変更される場合があるため、国税庁のホームページをご確認ください。
申告者によって還付金が変わる
家族内に複数の収入がある場合、医療費控除を個々で申告するか家族でまとめて申告するか選択できます。
ただし、所得税率や扶養控除の有無によって、誰が申請するかで還付金を受け取れる額が変わります。不明な点があれば税務署に確認するとよいでしょう。
クレジットやデンタルローンで支払った場合も医療費控除の対象になる
クレジットやデンタルローンで矯正費用を支払った場合も、医療費控除の対象です。
ただし、ローンを組んだときにかかる手数料は控除の対象にはなりません。また、デンタルローンで支払った場合は領収書がないため、デンタルローン契約書の控えが必要です。
翌年の住民税も安くなる
医療費控除を受ける手続きを確定申告で行うと、翌年の住民税が安くなります。住民税は確定申告で申請する必要はありません。申請した医療費控除の金額の10%が翌年の住民税から差し引かれます。
医療費控除を受けるために必要な書類
矯正治療の費用を確定申告で控除する場合、以下の書類が必要です。
・確定申告書:確定申告書には、還付金を受け取るための口座番号など多数項目があります。確定申告書は税務署で受け取るかインターネットでのダウンロードも可能です。記入漏れがないように早めに作成しましょう。
・源泉徴収票
・医療費控除の明細書:矯正治療の領収書や通院にかかった交通費の領収書を確認して、医療費控除の明細書に記載します。領収書の提出義務はありませんが、領収書は5年間の保管義務があります。確定申告したあとも、領収書は年ごとに分けてファイルに保管しましょう。参照:国税庁「医療費控除の明細書」
・矯正歯科の診断書:インビザライン矯正を医療費控除の対象にするためには、噛み合わせなどの治療目的の矯正であることを証明する必要があります。診断書の提出の義務はありませんが、医療費控除の対象になるかの判断のため、税務署に求められる場合があります。
・医療費通知書
・マイナンバーカードなどの本人確認書類
これらの書類を集めて確定申告の際に提出することで、医療費控除を受けられます。医療費控除の上限額や条件については、確定申告書の説明書などで確認しておきましょう。
医療費控除の手続き方法
確定申告の時期や手続きの注意点について解説します。
確定申告の時期
会社の年末調整で医療費控除を受けることはできません。医療費控除で還付金を受け取るには、個人で確定申告をする必要があります。確定申告の時期は翌年の2月16日から3月15日までで、管轄の税務署で行います。
矯正治療が数年にわたる場合の手続き方法
インビザライン矯正が数年におよぶ場合、1年ごとにかかった医療費を計算して、医療費控除の手続きをします。その年の確定申告を忘れてしまった場合、5年前までさかのぼって申告することが可能です。
医療費控除の手続きの手順
医療費控除の手続きの手順は以下のとおりです。
1.医療費控除の明細書に、インビザラインの費用や交通費など医療費控除の対象となるすべての金額を記入します。
2.確定申告書に漏れがないように記入し、マイナンバーカードや矯正の診断書など必要書類を集めます。
3.最後に確定申告書の提出です。提出方法は、税務署に持参または郵送、PCやスマホからe-Tax利用があります。
治療費の領収書は5年間の保管義務があります。確定申告したあとも、必要書類は大切に保管しましょう。
まとめ
インビザライン矯正でも噛み合わせに問題があると判断された場合は、医療費控除の対象になります。医療費控除の対象になるかどうかは、歯科医師の判断が必要であるため、まずは歯科医院に相談しましょう。
確定申告を知らなかった場合や忘れていた場合も、5年間さかのぼって申請できます。医療費控除の還付金が受け取れると矯正費用の負担が軽減できるため、制度について理解し、活用しましょう。
インビザラインを検討している方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。