こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
歯周病は、日本人が歯を失う原因の第一位です。45歳〜54歳の方のうち50%は、歯周病に罹患しているといわれています。
歯周病だと診断された方は特に「重度の歯周病になるとどのような症状が出るの?」「最終的にどうなるの?」「全身に影響はあるの?」などと考えることでしょう。
本記事では、重度の歯周病の症状や治療法、全身への影響について解説します。歯周病の予防法も解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
重度の歯周病とは

重度の歯周病とは、歯周病の症状が悪化した状態です。歯周ポケットが6mm以上になり、歯槽骨が溶けて歯がグラグラしてきます。重度の歯周病になると、歯が抜けるリスクが高くなったり、全身へ影響を及ぼしたりします。そのため、一刻も早く治療をしなければなりません。
歯周病の状態は、レントゲン撮影や歯茎の検査などで確認します。
レントゲンで確認できる病状
歯槽骨は歯茎に覆われているため肉眼で見えませんが、重度の歯周病をレントゲン写真で見ると、歯を支えている骨が溶けているのが確認できます。顎の骨の高さもはっきりとわかるので、歯周病の進行状況や深刻な箇所などを特定できるでしょう。
自覚症状のなかった方が、現実を知ってびっくりすることも少なくありません。
歯茎の検査で確認できる病状
歯茎の検査では、ポケット短針というメモリのついた専用の器具で、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの深さを測ります。健康な状態であれば、3mm以下で出血や排膿はありません。
しかし、歯周病になるとポケットが深くなり、ポケット短針で測った箇所から出血や排膿が見られる場合があります。重度の歯周病では、6mm以上の深さになります。
重度の歯周病の症状

初期の歯周病では、自覚症状がなく気付かない方も少なくありません。
しかし、重度の歯周病へと進行すると、以下のような症状が現れます。
・歯茎が腫れてぶよぶよする
・歯茎から出血や排膿がある
・歯がグラグラしてくる
・歯の根元に歯石がついて黒っぽくなっている
・歯が長く見える
・歯と歯の間に隙間ができて食べ物が挟まりやすい
・食べ物を噛んだときに痛みがある
・口臭がひどくなる
重度の歯周病は歯を支える骨が溶けるため、歯がグラグラとしたり、歯と歯の間に隙間ができたりします。その結果、食べ物を噛んだときに痛みを感じたり、食べ物が挟まったりする方も多いです。
また、歯周病菌が歯周ポケット内で繁殖し炎症を起こしているので、出血や排膿もあるでしょう。さらに、歯の根元に黒い歯石が付着します。歯石は歯ブラシでは取り除けません。
また、重度の歯周病の方は、出血や排膿などが原因で口臭がひどくなります。腐った玉ねぎや卵のような臭いがするのが特徴です。
重度の歯周病の治療法について

重度の歯周病になると、歯を失うリスクが高くなります。また、歯磨きだけで改善させるのは難しいので、歯科医院で治療を受けることが大切です。
本項目では、重度の歯周病の治療法についてまとめました。
歯石除去
重度の歯周病になっている方は、歯の根元の見えない箇所にも歯石が付着している可能性が高いです。歯石は歯周病が進行する要因となるため、取り除かなければなりません。
歯石除去には、下記の2つの方法があります。
・スケーリング
・ルートプレーニング
スケーリングとは、ハンドスケーラーや超音波スケーラーなどの器具を使用して歯に付着した歯石を除去する方法です。ルートプレーニングとは、歯周ポケットの奥にある歯石を除去して歯の表面をツルツルにする処置です。
まずはスケーリングで専用の器具を使用して、歯についている歯石をきれいに落とします。その後、ルートプレーニングで歯茎の下についている歯石を取り除き、表面をツルツルにします。歯の表面をツルツルにすることで、歯石が再付着するのを防ぐ効果があります。
外科治療
歯周病の症状に合わせて、必要なら外科治療を行います。
重度の歯周病で行う主な外科処置は、次のとおりです。
フラップ手術
フラップ手術は、局所麻酔後に歯茎を切開し、歯の根本が肉眼で見える状態にしてスケーリング・ルートプレーニングを行う手術です。ポケットが深すぎたり、歯の根が複雑な形をしたりしていると、通常のスケーリング・ルートプレーニングだけでは歯石を全て取り除けません。
フラップ手術をすることで歯石を徹底的に除去できるでしょう。
歯周組織再生療法
歯周病で失った歯周組織は再生できません。その場合は、薬剤を使用して骨や歯周組織の再生を図る、歯周組織再生療法を採用することがあります。薬剤には、エムドゲインやリグロスなどを使用します。
歯周組織再生療法は、いくつかの条件をクリアしていなければなりません。顎の骨の状態や回復の見込みがあるのかなどを考慮し、病状に合わせて決定します。
抜歯
歯周病が進行しすぎている場合は、抜歯をしなければなりません。抜歯をすることで、周囲の歯に悪影響が出るリスクを減らせるでしょう。抜歯後は、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどで再び噛める状態にします。
歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病は、歯を失うだけでなく全身にも影響を及ぼします。歯周病菌が口腔内から血管に侵入すると、さまざまな全身疾患を引き起こしたり、症状を悪化させたりするのです。そのため、放置せずに早く治療を受けることが不可欠です。
本項目では、歯周病が全身に及ぼす影響について解説します。
心筋梗塞・脳卒中
歯周病は、心筋梗塞や脳卒中と大きなつながりがあることがわかっています。
歯周病菌が血管に入り込み、血管壁に付着すると血管が狭くなります。また、歯周病菌の影響で、血管内に粥状の隆起であるプラークができると、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことがあるのです。
心筋梗塞や脳卒中は、生死に関わる病気です。健康に長生きするためにも、歯周病が重度に進行する前に治療する必要があるでしょう。
低体重児早産
妊娠中に歯周病になると、低体重児早産のリスクが高くなります。
妊娠中はホルモンの影響で歯周病になりやすいです。加えて、つわりで歯ブラシを口に入れられないことがあるため、歯周病になりやすいのです。
歯周病になると、歯周組織周辺が炎症を起こし、炎症性物質が作られます。炎症性物質が血液に入り込むと、子宮が収縮して早産するリスクが高まるのです。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物が気管や肺に入ったこと(誤嚥)が原因で発症する肺炎のことです。高齢になると口腔内の筋肉や嚥下の力が落ちるため、誤嚥しやすくなります。
歯周病を発症していると、誤嚥したときに歯周病菌も一緒に飲み込むことがあります。その結果、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるのです。
糖尿病
歯周病は、糖尿病の合併症のひとつとされています。さらに、もともと糖尿病だった人が歯周病になると、糖尿病が悪化するともいわれています。歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼしているのです。
歯周病の治療をすると、糖尿病の病状の改善が見られるケースも珍しくありません。
歯周病の予防法

歯周病は、口腔内にも全身にも悪影響を及ぼします。健康で長生きするためにも歯周病を予防しましょう。
ここでは、歯周病の予防に効果的な方法をご紹介します。
しっかりと口腔ケアを行う
歯周病を予防するためにはしっかりと口腔ケアを行うことが重要です。毎日丁寧に磨いていても、正しく磨けていない可能性があります。
歯ブラシの形が合っていなかったり、歯を磨くときの力が強すぎたりすると、プラークをしっかりと取り除けません。また、奥歯の外側や下の歯の内側などには歯ブラシがあたりにくいため、磨き残しが生じやすいです。歯と歯の間や歯と歯茎の境目にも磨き残しが生じやすいでしょう。
歯磨きをするときは、ご自身の口に合った歯ブラシを使用し、優しい力で1本1本丁寧に磨きましょう。また、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃用具も使用して、歯ブラシでは届かない部分に付着した汚れもしっかり落としてください。
定期検診に通う
定期検診に通い、歯茎の状態をチェックすることは欠かせません。定期検診では、歯茎の検査をして歯周病になっていないか確認します。万が一、歯周病になっていても、定期的に歯科医院を受診していれば初期の段階で発見でき、進行する前に治療ができるでしょう。
また、定期検診では検査だけでなく、歯のクリーニングも受けられます。専用の機械や器具を使って、ふだんの歯磨きでは落としきれない汚れを除去してもらえるため、虫歯や歯周病の予防に効果があります。
自分だけでは磨ききれない箇所がきれいになるほか、コーヒーや緑茶などの着色も落とせます。歯がツルツルになるので、清潔な状態をキープしたいというモチベーションも保てるでしょう。
まとめ

今回は、重度の歯周病の症状や治療法について解説しました。
重度の歯周病になると、歯茎から出血や排膿があり、歯がグラグラしてきます。食べ物を噛んだときに、痛みを感じることも少なくありません。さらに、口臭がするため周囲とのコミュニケーションに問題が出る場合もあるでしょう。
口腔内だけでなく、心筋梗塞や脳卒中、低体重児早産、誤嚥性肺炎、糖尿病など全身にも影響が出るリスクがあるため、一刻も早い治療が必要です。
重度の歯周病の治療は、歯石除去や外科治療を行います。歯周病が進行している場合には、抜歯をしなければならないケースもあります。
歯周病を予防するためには、日頃からしっかりと口腔ケアを行い、定期検診に通うことが重要です。定期検診に通うことで問題を早期に発見できるでしょう。歯科医師や歯科衛生士がしっかりとフォローしますので、なんでも相談してください。
歯周病にお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。