こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
「虫歯の被せ物は、銀とセラミックのどちらを選べばいいの?」
とお悩みではありませんか。
虫歯治療の材料選択で銀とセラミックは「白か銀」「保険か保険外」の違いだけではありません。歯の寿命を左右する大きな違いが隠されているのです。
この記事では、虫歯治療の材料選択で銀とセラミックの違いを5つの視点から詳しく解説します。
歯には寿命があることや歯の寿命を伸ばすためにどうすればよいかについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
虫歯による歯の寿命とは?
虫歯になっても治療すれば治るという認識は間違いで、じつは歯にも寿命があるのです。
ここでは、歯の寿命とは何かを詳しく解説しましょう。
虫歯治療で詰め物を補填!初期の虫歯
初めて虫歯ができてからの治療の流れは以下の通りです。
- 1. 虫歯を発見!
- 2. 歯を削る
- 3. 樹脂で補填する
- 4. 治療終わった!
虫歯を発見したらまず歯を削り、初期の虫歯治療の多くは樹脂で補填します。
皆さんここで治療が終わったと思いますよね。しかし、残念ながらここでは終わらないことがたくさんあります。
なぜかというと、虫歯治療で歯に詰め物をすると、歯と詰め物の隙間に細菌が入りやすくケアをしっかりしないと虫歯の再発が起こりやすいからです。
ピタッと詰め物をしたのに、隙間ができるのは不思議ですよね。隙間ができる理由は、補填した樹脂に光を当てて硬化させる(光重合)ときに重合収縮が起こって樹脂が縮むからです。
虫歯を再発させないベストな方法は、当然ですが最初から虫歯にならないこと。
虫歯にならずに1回も歯を削らないと補填する治療も必要がなく、2回目、3回目の虫歯も起こってきません。
しかし虫歯になって歯を削り、詰め物の樹脂を固めるときに重合収縮が起きると、歯と詰め物の間に隙間ができ、ケアが十分でないと再発するのです。
1回虫歯になったところは隙間から細菌が侵入することで、虫歯が再発してしまいます。
再発すればさらに歯を削って、削った歯に詰め物をします。
虫歯が神経に到達し歯を失う!歯の寿命
虫歯を繰り返し治療してだんだん大きな詰め物になると、歯と詰め物の境目に隙間ができ細菌が入ります。
そのため、「また虫歯になって、歯を削り、詰め物で補填する」とずっとループしてしまうことが多いのです。
しかしこのループは、一生できるわけではありません。神経まで到達してしまった瞬間に虫歯のループが終わってしまいます。
虫歯が神経まで到達してしまうと、神経をとり被せ物をつけます。
被せ物の治療をして、またそこから虫歯になっても次は傷みを感じません。
虫歯と診断されたけれど、痛くない。
なぜなら神経をとっているので傷みを感じないのです。
被せ物の下が虫歯になってしまうと、次の治療はもうありません。再治療はできないのです。
歯が抜けて歯を失います。ここで、歯の寿命がきてしまいました。
たとえば6歳で虫歯になるのと、15歳、20歳で虫歯になるのとではその後の影響が大きく異なります。虫歯のループはずっと続けられないので、幼少期に虫歯になってしまうと、歯の寿命が早くきてしまう可能性があるのです。
そのため虫歯のリスクを下げることが大事なんですよ。
歯を1本失えば、次のどれかを選択することになります。
- ✅️ブリッジ
- ✅️インプラント
- ✅️入れ歯
しかし選択するものによってはどんどんほかの歯にも負担がかかって、総入れ歯になってしまうことも。これが最終的な歯の寿命のポイントです。
だからこそ、1本1本の歯の寿命を最大限に伸ばすことが重要です。
虫歯のループはずっと続けられないので、どこかで断ち切らないといけません。
ここからは、歯の寿命を左右する銀とセラミックの違いに焦点を当て、歯を守るための選択について解説します。
虫歯の被せ物、銀歯vsセラミック!5つの視点から詳しく紹介
虫歯の被せ物の銀とセラミックの違いは「白か銀」「保険か保険外」だけではありません。
ここでは以下の5つの視点から紹介します。
- ✅️審美面
- ✅️適合面
- ✅️安全面
- ✅️耐久面
- ✅️清掃面
それぞれ説明します。
銀歯vsセラミックその1【審美面】
まず、審美面で銀とセラミックを比べてみましょう。
たとえば、前から4番目の歯に銀の詰め物を入れると、笑ったときに銀歯が見えてしまうので審美面ではよくありません。一方セラミックの詰め物は、歯の色に合わせて作られているので、笑ったときに詰め物が目立つことなく審美面でとてもよいです。
審美面で銀vsセラミックにするとセラミックの勝ちです。
たとえば結婚式や式の前撮りなど大切なイベントでは、最高の笑顔を残したいですよね。しかし、笑ったときに銀歯が見えるとそれも笑顔の自信を失ってしまう一つの要因になってしまいます。きれいな笑顔のためにも、セラミックがおすすめです。
銀歯vsセラミックその2【適合面】
次に適合面を見ていきましょう。
適合面で大事なのは作り方です。銀の詰め物の作り方をご存じでしょうか。
まず虫歯の部分を削り、アルジネートという材料で口の中を型取りします。その後、型に石膏を流し込んで固めますが、その過程で石膏が収縮・膨張し形が変わってしまうのです。
さらに、この石膏の型をもとに技工士さんが、溶かした銀をその型に流し込みますが、この過程でも銀が固まる際に変形してしまいます。
このように銀の詰め物・被せ物は製作過程で、どうしても変形が生じて歯との間に隙間ができやすいという宿命があります。
一方、セラミックはジルコニアという硬いブロックから削りだして作られます。溶かして固める過程がないので、変形がなくぴったりしたものが作れます。
適合面という点で、銀は溶かして固めるためどうしても適合面が悪く、セラミックはブロックから削りだしていくので歯にぴったりとフィットし適合面がよいです。
ぴったり合った被せ物のほうが虫歯になりにくく、適合面で比べるとセラミックの勝ちになります。
銀歯vsセラミックその3【安全面】
次に安全面について見ていきましょう。
銀は金属アレルギーの原因になります。下の画像を見ると手がかなり荒れているのがわかると思います。
銀の詰め物・被せ物は口の中で銀イオンが溶けだし、タンパク質と結びつくことでアレルゲンに変わります。
すべての人はアレルゲンをためるコップを、体内に持っているようなものです。コップにたまった金属アレルギーのアレルゲンが、あるとき急にあふれだすことによって発症します。いつ起こるか予測できませんが、銀歯をしている人はみな同じリスクを抱えています。人により許容範囲が大きいか小さいかというだけです。
このように安全面で銀の詰め物・被せ物は少しリスクが高いです。
いっぽう、セラミックは生体親和性の高い材料です。生体親和性とは人体との相性がよく安全な素材であることを意味します。
安全面での、銀vsセラミックでもセラミックの勝ちです。
銀歯vsセラミックその4【耐久面】
かみ合わせに対しては、セラミックも割れやすいリスクはあるのですが、ここでは「たわみやすいか」で比較していきます。
銀はかみ合わせの力で、たわみやすいという性質があります。
たわむと歯と銀の詰め物・被せ物の間に隙間ができやすくなるのです。すると中のセメントが溶けだし、被せ物の下で虫歯が再発するリスクが高まります。
ほかにも脱離といって銀の詰め物・被せ物はボロンととれてしまうことも。理由は、銀の詰め物・被せ物がたわんでしまうのが原因です。たわむと銀の下に隙間ができ、虫歯になって耐久性が悪くなってとれてしまうのです。
一方セラミックは、たわまず隙間ができにくいのでピタッと合ったままになります。耐久面で比べると銀とセラミックではセラミックの勝ちです。
銀歯vsセラミックその5【清掃面】
清掃面は、表面の性状に秘密があります。銀の表面の性状は凹凸になっています。セラミックの表面はつるっとして凹凸がありません。
どういうことかというと、凹凸になっているところは、汚れがとれにくいのです。
同じ人がセラミックと銀の両方の詰め物を入れている場合、口腔内を撮影すると一目瞭然です。
銀の詰め物には、汚れがべったりついているのに対し、セラミックはきれいに清掃できています。
同じ人の口の中なのに汚れの付き具合が違う理由は、まさに表面の性状の違いにあります。汚れがついているところは虫歯のリスクが上がってしまうので、セラミックのほうが虫歯のリスクが低いです。清掃面でもセラミックの勝ちです。
保険適用かどうかだけじゃない!虫歯の被せ物は歯の寿命まで考えて選択しよう
今回ご紹介した5つの視点から銀とセラミックを総合的に検討するなら、虫歯の被せ物は、セラミックがおすすめです。
「保険か保険外か」と聞かれたら、安いほうがいいと感じるのは当然です。しかし将来的な歯の寿命のことまで考えて被せ物を決めなければいけません。
一度虫歯になったところが再発を繰り返したらどうなるのか、全貌をちゃんと知ったうえで材料を選択してほしいのです。
私自身、家族にどちらがよいか聞かれたら即答でセラミックをすすめます。
もりかわ歯科では、患者さんのためにさまざまな提案をしています。
ぜひ、ご自身の歯の寿命のことをしっかり考えて選択していただきたいです。
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