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白い背景の前でマウスピースを装着しようとしている女性

インビザライン治療で親知らずの抜歯は必要?抜歯のメリットや必要なケースについて解説!

2023年2月28日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

インビザライン治療とは、矯正治療の一種で、マウスピースの形をした矯正装置を決められた期間ごとに装着していきながら、歯並びを整えていく方法です。歯並びが凸凹している場合、歯が並ぶためのスペースが不足しているため、矯正治療では抜歯をする場合があります。

今回は、インビザライン治療をする場合、親知らずの抜歯が必要かどうかについて、さまざまなケースを例に解説していきます。

親知らずとは

歯のレントゲン写真を手に持っている

親知らずとは、前から8番目にあたる歯で、20歳前後に生えてくることが多い歯です。生えてくる年齢から「親が知らない間に生えてくる」ということで「親知らず」と呼ばれるようになりました。「第三大臼歯」「智歯(ちし)」とも言います。

親知らずの有無は人それぞれです。1本もない場合もあれば、2〜3本ある場合、4本すべてある場合もあります。また、親知らずがあっても、顎の骨の中に埋まっている場合、半分だけ萌出している場合などもあります。

親知らずは必ず抜歯したほうがいいの?

抜歯した歯をピンセットで持っている

矯正治療とは別に考えた場合、親知らずは必ずしも抜歯しなければいないわけではありません。例えば、しっかりと真っ直ぐ生えていて、上下の親知らずが噛み合って機能している場合は抜歯する必要はありません。

しかし、親知らずは生えてくるスペースが足りないなどの理由で、斜めに生えてきたり、半分だけ生えてくる場合があり、汚れが溜まりやすいトラブルを起こしがちです。炎症を繰り返すような場合は、積極的に抜歯を検討したほうがよいでしょう。

また、虫歯や歯周病になっても、治療器具が十分に届かないなどの理由で、しっかりと治療ができない場合があります。そのような場合も、抜歯を検討したほうよいことがあります。

インビザライン治療で親知らずを抜歯するメリット

黒いシャツを着た人の手のひらに青く光るプラスマークがある

親知らずがあると歯を後方に移動するのが難しいため、矯正治療の邪魔になることが多くなります。矯正治療中の親知らずの抜歯は、基本的にメリットが多いといえます。

インビザライン治療で親知らずを抜歯するメリットは、次の3つです。

・歯を動かすスペースが増え、歯がきれいに並びやすくなる

・矯正後、歯並びのよい状態を維持しやすくなる

・虫歯になり矯正が中断するリスクを減らせる

インビザライン治療中に、歯をスムーズに動かすだけでなく、治療後の歯並びを維持しやすくなるのもメリットの一つです。抜歯をせずに歯並びを整えたとしても、親知らずが残ったままだと、横の歯を押してしまうため、歯並びが後戻りしやすい傾向になるといえます。

インビザライン治療で親知らずを抜歯するデメリット

水色の背景の前でノートパソコンを片手に持ち。悩んでいる女性

歯並びを整えるのに、親知らずは邪魔になることが多く、抜歯するのに大きなデメリットはありません。

ただし「親知らずの抜歯」自体が外科処置のため、多少のリスクが伴います。リスクに対してしっかり納得してから施術を受けるようにしましょう。

親知らずの抜歯におけるリスク

親知らずの抜歯におけるリスクは、以下の5つです。

・術後に腫れや痛みが起こることがある

・顔に内出血が起こることがある

・うまく蓋ができないと、ドライソケットと呼ばれる顎骨が露出し感染を起こした状態になり、痛みが長引くことがある

・下の親知らずの場合、術後に顎が開けづらくなることがある

・下の顎の骨の中を通り太い神経を傷つけてしまうと、術後に麻痺が起こる可能性がある

このように、親知らずの抜歯自体にリスクがあります。

ただし、すべての治療にはリスクが必ずあるものです。事前にしっかりと説明を受けて、納得したうえで治療を受けるようにしましょう。例えば、リスクが高いと歯科医師が判断した場合には、より安全に施術をするため、総合病院などにある口腔外科での抜歯を勧める場合もあります。このような場合は、リスクを減らすためにも口腔外科で抜歯をしたほうがよいでしょう。

インビザライン治療で親知らずの抜歯が必要なケース

横の歯に倒れて生えている親知らず

これまで説明してきたように、スムーズにきれいな歯並びを作っていくためには、親知らずは抜歯をしたほうがよいと判断されることが多いです。歯並びの凸凹が大きい場合には、親知らずを抜歯したほうがスムーズに矯正治療が進むでしょう。特に次のような場合は、親知らずの存在が歯並びやお口の中全体にとって悪影響を与えている可能性があるため、積極的に抜歯を検討したほうがよいでしょう。

インビザライン治療で親知らずの抜歯が必要なケースは、以下の4つです。

・ほかの歯を圧迫している場合

・噛み合わせに悪影響を与えている場合

・虫歯になっている場合

・痛みや腫れが繰り返し起こる場合

ほかの歯を押したり圧迫していたり、噛み合わせに悪影響を与えている場合は、直接的に親知らずが歯並びに影響を与えていると考えられます。抜歯をしてからインビザライン治療を進めたほうがよいでしょう。

また、虫歯になっている場合や、痛みや腫れを繰り返している場合は、今後も親知らずによるとトラブルが続くことが考えられます。せっかく矯正治療をしても虫歯や歯周病でボロボロになってしまっては意味がなく、親知らず以外の歯の健康にも悪影響を及ぼします。早めに抜歯を検討するのがよいでしょう。

インビザライン治療で親知らずの抜歯が不要なケース

横から撮影された歯のレントゲン写真

インビザライン治療で親知らずの抜歯が不要なケースは、以下の3つです。

・奥歯を後方に動かす必要がない歯並び

・IPRで対応できる歯並び

・親知らずの根っこができていない場合

それぞれについて詳しく解説していきます。

奥歯を後方に動かす必要がない歯並び

親知らずが生えていると、奥歯を後方に動かすことが難しくなります。

奥歯を後方に動かす必要がなく、親知らずが真っ直ぐ生えていてトラブルのもとになっていない場合には、親知らずを抜歯する必要はありません。

IPRで対応できる歯並び

IPRとは、ディスキングといわれる施術方法で、隣り合う歯との接触面を削って、歯と歯の間にすき間を作る処置です。エナメル質のみを削るため、しみたりすることはありません。

歯並びの凸凹の程度がIPRで対応できるのであれば、無理に抜歯をする必要はありません。

親知らずの根っこができていない場合

親知らずの根っこができておらず、埋まったままの状態の方もいるでしょう。このような場合は、抜歯をせずにそのまま治療を進めてしまうことがあります。

今後、悪影響を及ぼす可能性があるかを考慮したうえで、抜歯が必要かどうかを判断します。

インビザライン治療で親知らずを抜歯するタイミング

黄色い背景の前に置かれた目覚まし時計

インビザライン治療を始める前に、親知らずは抜歯したほうがよいです。親知らずがあると、ほかの歯がうまく動かなくなってしまう原因になります。マウスピースで本格的に歯を動かす前に、すべての親知らずの抜歯を済ませるのがベストです。そのため、親知らずが生えている場合は、インビザライン治療の開始時期が少し遅れてしまうことがあります。

親知らず以外のほかの歯の場合は、矯正治療を少し進めたあとに行ったほうがよいケースもあるため、すべての歯に当てはまるわけではないということを頭に入れておきましょう。

まとめ

歯科医院で治療を受ける女性

「抜歯」と聞くと、怖いイメージをもってしまい「なるべく避けたい」と考える方も多いでしょう。

しかし、矯正治療の場合は、スムーズに歯並びを整えるために抜歯が必要になることがあります。特に、インビザライン治療をする場合には、親知らずがあると歯が動くのに邪魔になってしまうことが多いため、抜歯をするメリットが大きいといってよいでしょう。「抜歯」に対する不安がある場合は、歯科医師とよく相談のうえ、歯並びを整えるためにベストな方法を選択するようにしましょう。

インビザライン治療に少しでも興味がございましたら、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にお気軽にご相談ください。

黒の背景の前に置かれた2つのマウスピース

マウスピース矯正とは?ほかの治療法との違いやメリット、費用について詳しく解説!

2023年2月21日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

近年、矯正治療を希望する人が増えています。厚生労働省が2020年に行った患者調査によると、矯正治療の初診者数は、2017年と比較して3.6倍にもなっています。また、男女別に見ると、男性患者は1.7倍、女性患者は4.8倍に増えています。矯正治療が年々人気になっていることがわかるでしょう。

参照元:「3年間で3.6倍と増加、最新の厚労省患者調査からわかる歯科矯正初診患者数」

そこで今回は、矯正治療の中でも特に人気のあるマウスピース矯正について説明したいと思います。

マウスピース矯正とほかの治療法の違い

右手に歯の治療器具を持ち、左手で左上を指差す女性

矯正治療には、大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類があります。これらの違いを以下にまとめてみました。

歯を動かす仕組み

ワイヤー矯正は、ブラケットという小さな矯正装置とワイヤーを歯に装着することで行う治療法で、ワイヤーの元に戻る力を利用して歯を動かします。

一方、マスウスピース矯正は、現在の歯並びから少しずれたマスウスピースを装着し、このずれにより生じる力を利用して歯を動かします。

適応症例の範囲

ワイヤー矯正は、歯を大きく動かすことができるため、広い範囲の歯並びを治療することができます。

一方、マウスピース矯正は、歯を大きく動かすことができないため、治療できる歯並びは限られています。

取り外しの有無

ワイヤー矯正では、歯に矯正装置を装着するため、矯正治療中は矯正装置を取り外すことができません。

一方で、マウスピース矯正はマウスピースを自由に取り外すことができます。

矯正中のトラブルの頻度

ワイヤー矯正では、治療中に矯正装置が外れる可能性があり、場合によっては矯正装置が頬の粘膜や歯茎を傷つけることがあります。

一方、マウスピース矯正ではこのようなトラブルは比較的少ないです。

食べ物の制限

ワイヤー矯正では、食べ物が当たると矯正装置が外れる可能性があります。そのため、硬い食べ物を食べるときは注意が必要です。また、キャラメルなどの粘着性のある食べ物は矯正装置に付着する可能性があるため、控える必要があります。

一方、マウスピース矯正は、マウスピースを取り外して食事ができるため、食べ物の制限は特にありません。

マウスピース矯正のメリット・デメリット

赤色で描かれた困り顔のスマイリーと、黄色で描かれた笑顔のスマイリーがあり、黄色のスマイリーマークを指でタッチしている

次に、マウスピース矯正のメリット・デメリットについて解説していきます。

メリット

マウスピース矯正のメリットは、以下の2つです。

自由に着脱できる

マウスピースは自由に取り外すことができるため、装置を取り外した状態での飲食や歯磨きができます。そのほかにも、人前で話す必要があるときや運動を行うときなどにも装置を取り外すことができるため、日常生活におけるストレスは少ないでしょう。

目立たない

マウスピース矯正では、透明なマウスピースを使用し自由に取り外しができるため、目立ちにくいという特徴があります。

デメリット

マウスピース矯正のデメリットは、以下の2つです。

1日の装着時間が長い

マウスピース矯正で歯を動かすためには、マウスピースを1日20〜22時間以上装着する必要があります。装着時間が短いと、歯に十分な力を与えられず、治療期間が長引く可能性があります。

噛み合わせが変わることがある

マウスピースは、歯全体を覆っています。奥上から押さえつけられる力が奥歯に働くため、結果として奥歯の高さが低くなり、奥歯の噛み合わせが変化することがあります。

マウスピース矯正で治療できる症例・できない症例

左手にマウスピースを持ち、右手でグッドサインをしている女性

専門用語で悪い歯並びのことを不正咬合(ふせいこうごう)といいます。不正咬合には、さまざまな種類があり、マウスピース矯正で治療できる不正咬合は限られています。

以下に、マウスピース矯正で治療ができる症例とできない症例をまとめました。

マウスピース矯正で治療できる症例

マウスピース矯正で治療できる症例は、以下の5つです。

軽度の叢生(そうせい)

叢生とは、歯並びが不揃いでボコボコしている歯並びのことをいいます。「乱杭歯」や「八重歯」がこれに該当します。本来の歯列から歯が大きくずれていない軽度の叢生であれば、マウスピース矯正で治療できます。

空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間が空いている歯並びのことをいいます。いわゆる「すきっ歯」がこれに該当します。この症例もマウスピース矯正で治療できます。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の歯が出ている歯並びのことをいいます。いわゆる「出っ歯」がこれに該当します。上顎前突には、歯が前に出ている場合と骨格的に上顎骨全体が前に出ている場合があります。歯が前に出ている場合はマウスピース矯正が適応となりますが、骨格的な原因がある場合は手術が必要になります。

下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突とは、下の歯が出ている歯並びのことをいいます。いわゆる「受け口」がこれに該当します。下顎前突も、上顎前突と同様に歯が前に出ている場合と骨格的に下顎骨全体が前に出ている場合があり、歯が原因の場合のみマウスピース矯正で治療できます。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、噛み合わせが深いため奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯に覆いかぶさって、下の前歯が見えなくなる歯並びのことをいいます。奥歯の噛み合わせに問題がある場合は、マウスピース矯正で治療できます。

しかし、骨格的な問題がある場合は手術が必要です。

開咬(かいこう)

開咬とは、歯を噛み合わせた時に上下前歯が噛み合わず、隙間がある歯並びのことをいいます。舌を噛む癖などの舌癖(ぜつへき)などが原因で起こることがあります。マスウスピース矯正と並行して、舌癖がある場合はそちらの改善も行います。

マウスピース矯正で治療できない症例

マウスピース矯正で治療できない症例は、以下の4つです。

重度の叢生

マウスピース矯正では、歯を大きく動かすことができません。そのため、本来の歯列から歯が大きくずれていて歯を大きく動かす必要がある場合は、マウスピース矯正で治療ができません。

インプラントがある場合

インプラントは、骨に直接埋め込まれています。そのため、マウスピース矯正のような弱い力では動かすことはできません。

重度の歯周病

重度の歯周病がある場合、顎の骨が溶けています。この状態で矯正をすると、歯に加わる力が原因で歯が抜けてしまう場合があるため、マウスピース矯正では治療ができません。

骨格的な不正咬合

顎の骨格が原因で起こる不正咬合の治療は、手術を行う必要があります。そのため、マウスピース矯正では治療ができません。

マウスピース矯正の治療の流れ

PCの画面に映し出されたレントゲン写真と歯の模型で説明をする歯科医師と説明を聞く患者

マウスピース矯正の治療の流れは、以下のとおりです。

1.カウンセリング

マウスピース矯正を行う前にカウンセリングを行います。

カウンセリングでは、現在の歯並びのお悩みや矯正治療に対する疑問などをうかがい、説明を行います。また、お口の中を確認し、マウスピース矯正が可能であるかの判断も行います。

2.精密検査

カウンセリングを受けていただき、矯正治療をご希望される場合は精密検査を行います。

精密検査では、現在のお口の中の写真やレントゲンの撮影、歯型の採取などを行います。

3.治療計画の説明

精密検査の結果から歯並びの状態を評価し、治療計画を立てます。治療計画の決定後、治療のスケージュールや期間、費用などの説明を行います。

4.術前処置

マウスピース矯正を始める前に虫歯や歯周病がある場合は、こちらの治療を優先して行うことがあります。歯に汚れが付いている場合は、歯のクリーニングを行います。

5.マウスピース矯正

マウスピースの着脱の仕方や注意点などを説明します。

歯科医師の指示に従い、決められた期間装着したあとは、新しいマウスピースを装着します。お口の中や矯正の進行具合くを確認する必要があるため、定期的に通院します。

6.保定期間(ほていきかん)

矯正治療が終了してしばらくは、歯を支えている骨が不安定のため歯並びが元に戻ってしまうことがあります。これを防ぐために、保定装置と呼ばれる歯並びを保つための装置を一定期間装着します。

マウスピース矯正にかかる期間

水色のテーブルの上に歯の模型と歯鏡、カレンダーが置かれている

マウスピース矯正にかかる期間の目安は、部分的に矯正が必要な場合は2か月~1年、全体的に矯正が必要な場合は1~2年程度必要です。また、矯正治療終了後は、元の歯並びに戻ることを防ぐために保定装置を1~2年装着する必要があります。

マウスピース矯正にかかる費用

テーブルの上にパソコン、聴診器、ノート、メガネ、白い電卓が置かれている

マウスピース矯正は自費診療のため、歯科医院ごとにかかる費用は異なります。

大まかな目安としては、部分的に矯正を行う場合は約300,000~400,000円、全体的に矯正を行う場合は約700,000~100,000円です。

マウスピース矯正中に注意すること

青い白衣を着て、首に聴診器を掛けた女性

マウスピース矯正中に注意することは、以下の3つです。

食事中はマウスピースを取り外す

マウスピース矯正中に食事をする際は、マウスピースを取り外してください。マウスピースを装着した状態で食事をすると、マウスピースが割れたり、マウスピース内に食べ物が溜まり虫歯や歯周病の原因になります。

装着時間を守る

マウスピース矯正で歯を動かすためには、マウスピースを1日20〜22時間以上装着する必要があります。装着時間が短いと、治療期間が長くなるため注意しましょう。

マウスピースの交換期間を守る

マウスピースは概ね10日ほど装着します。決められた期間マウスピースを装着したあとは、新しいマウスピースを装着しましょう。

まとめ

手の平に置かれたマウスピース

今回は、マウスピース矯正についてご説明しました。当院では、マウスピース矯正のカウンセリングを行っております。マウスピース矯正に少しでも興味がございましたら、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にお気軽にご相談ください。

マウスピースを装着しようとしている女性の口元

マウスピース矯正で八重歯は治せる?八重歯を放置するリスクや治療費・期間についても解説!

2023年2月16日

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

以前は、矯正といえばワイヤー矯正一択でしたが、最近ではマウスピース矯正を取り扱う歯科医院が増えています。八重歯が気になるけれど、ワイヤーの見た目に抵抗があり諦めていた方も多いでしょう。

この記事では、八重歯をマウスピース矯正で治す方法や治療期間、費用について解説します。八重歯を矯正することで、お顔全体が清潔かつ華やかな印象になります。

<この記事を読めばわかること>

・マウスピース矯正で可能な八重歯の治療法

・八重歯を放置するリスク

・マウス ピース矯正のメリット、注意点

・マウス ピース矯正の治療費、かかる期間

「写真を撮るときにステキな笑顔を残したい」「マウスピース矯正が気になるけれど不安」という方は、ぜひ参考にしてください。

八重歯とは

指で唇を押し上げ、歯茎を出している女性

八重歯とは、犬歯(3番目の歯)が横の歯に重なって花のように見える状態をいいます。犬歯は糸切り歯ともよばれます。

日本では「笑うと歯が見えてかわいい」といわれていますが、海外では好まれない傾向にあるのも事実です。

八重歯の原因

黄色い背景の前に歯の模型と治療器具が置かれている

八重歯は、歯の大きさに対して生えるスペースが足りないことが原因で起こります。

顎が小さく、歯が生えるスペースがない

顎が小さく歯が生えるスペースがないと、犬歯が外側にずれて生えてきます。八重歯(犬歯)は、前歯や奥歯より遅れて生えるため、スペースがないと横の歯に押し出されます。また、生え変わりの時期に乳歯が早く抜けて、横の歯が傾き、スペースがなくなるケースもあります。

歯のサイズが大きい

歯の大きさには個人差があります。顎のサイズは正常であっても、歯のサイズが大きいと歯列スペースに入らず、ずれて生えてきます。

八重歯を放置することのリスク

紫背景の前に黄色い服を着た女性が口元を押さえて立っている

八重歯は、単に見た目だけの問題ではありません。八重歯を放置しておくと、虫歯や歯周病のリスク、お口全体にトラブルが発生する可能性があります。

八重歯を放置することのリスクは、主に以下の3つです。

・歯間の虫歯になりやすい

・歯周病になる恐れがある

・噛み合わせが悪く奥歯に負担がかかる

それぞれ詳しく解説します。

歯間の虫歯になりやすい

八重歯が横の歯と重なると、プラークがたまりやすくなり虫歯のリスクが高まります。

デンタルフロスや歯間ブラシが入らなければ、両隣の歯に虫歯が広がる恐れがあります。八重歯の周囲の虫歯を防ぐには、ブラッシングに時間をかけなければいけません。

歯周病になる恐れがある

歯が重なると、歯の根っこが接近し、歯を支えている周囲の骨が減ってしまいます。「歯を支える骨が少ない」「磨きにくく汚れがたまる」などの理由によって、歯周病のリスクが高まります。

また、八重歯があることで口が開いた状態が続き、口内が乾燥すると歯周病菌が増殖します。

噛み合わせが悪く奥歯に負担がかかる

人は、噛んで食べ物をすり潰すとき、犬歯を機能させて奥歯の噛み合わせの負担を減らしています(犬歯誘導)。

八重歯があると犬歯が当たらないため、犬歯誘導ができず、奥歯に負担がかかった状態が続きます。日々の負担が積もることで、将来、奥歯が割れるなどトラブルが起こるリスクが高まります。また、噛み合わせがずれた状態で過ごすと、顔や顎の歪みが生じるかもしれません。

マウスピース矯正で八重歯は治せる?

グレーのテーブルの上にマウスピースが置かれている

マウスピース矯正はワイヤー矯正と同様、八重歯の治療に対応しています。

マウスピース矯正で治せる歯並び

マウスピース矯正で治せる歯並びは、以下のとおりです。

・八重歯などの叢生(歯が重なる、ガタガタの状態)

・上顎前突(出っ歯)

・下顎前突(受け口)

・すき間が多い歯並び

しかし、重度の叢生や骨格に問題があると、マウスピース矯正の治療対象外になるケースもあります。

マウスピース矯正で八重歯を治せないケース

八重歯の向きや突出具合によっては、マウスピース矯正で治せないことがあります。

マウスピース矯正で八重歯を治せないケースは、以下の3つです。

・八重歯以外の歯のずれが大きい

・骨格に問題がある

・噛み合わせが深い

同じ八重歯でも、ずれが大きい場合や過蓋咬合といわれる噛み合わせが深い場合は、マウスピース矯正で治せないケースがあります。

次に、八重歯の治療法と治療時の抜歯の有無について説明します。

八重歯の治療法

レントゲン写真を使って説明をする歯科医師と、説明を聞く患者

八重歯の治療法は、以下の4つです。

歯を後方に移動させてスペースを確保する(非抜歯の場合)

奥歯を後方に移動させてスペースを確保し、八重歯を正しいスペースに戻す治療法です。

顎の幅を広げて八重歯のスペースを確保する(非抜歯の場合)

上顎は横に広げやすいため、顎を横に広げることで八重歯の入るスペースを確保します。八重歯の角度やねじれ具合によっては、マウスピース以外の装置を使用する場合があります。

歯の側面を削り歯列内に収める(非抜歯の場合)

軽度の叢生であれば、歯の側面を削り、八重歯をスペースに収める治療で対応が可能です。

歯を削ると聞いて心配になる方がいるかもしれませんが、影響がない程度に削るため問題はありません。表面のエナメル質をごくわずかに削り、上の歯全体で八重歯1本分のスペースを確保するイメージです。

抜歯をしてスペースを確保する

顎が極端に狭く、八重歯以外に歯にずれが生じていれば、抜歯をするケースがあります。抜歯をしたあとに、上記3つの治療法を組み合わせて矯正します。

抜歯をするケースでも、基本的に八重歯を抜くことはありません。なぜなら、犬歯は根っこが大きく生涯にわたり残せる可能性が高いからです。八重歯が邪魔だからといって抜いてしまうと、噛み合わせが崩れる恐れがあります。多くの場合、抜歯は4〜5番目の歯を抜きます。

抜歯を懸念する気持ちがある方もいらっしゃるかもしれませんが、抜かずに無理に歯を動かすと、骨の吸収が早まる恐れがあります。抜歯については、歯科医師に相談し、納得したうえで進めましょう。

マウスピース矯正とワイヤー矯正を併用する

マウスピース矯正だけで対応できない場合は、部分的にワイヤーを使用することがあります。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と併用することで対応できる症例の範囲が広がります。ワイヤー矯正で部分治療する範囲は、それぞれの歯科医師の判断によります。ワイヤー矯正の技術が乏しい歯科医院では、マウスピース矯正とワイヤー矯正を併用できないことがあります。歯科医院を選ぶときは、経験が多い歯科医院であるか適切に判断しましょう。

マウスピース矯正で八重歯を治すメリット

青い白衣を着た歯科衛生士が片手に治療木後を持っている

八重歯を治したいと思ったとき、マウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらにするか迷う方もいるでしょう。両方を比較しながら、メリットについて解説します。

装置が目立たない

マウスピース矯正の最大のメリットは、装置が目立たないことです。

矯正は長期にわたるため、見た目が気に入らないと日々ストレスを感じ続けることになります。社会人の場合、写真撮影や接客など、見た目が気になるシーンは日常に溢れています。マウスピース矯正は見た目がほとんど変わらないため、外見によるストレスは少ないでしょう。

取り外しが可能である

マウスピースは、好きなタイミングで取り外せます。ワイヤー矯正では、ワイヤーに引っかかる食べ物や色のつくカレーを避けるなど、食事にも気を遣います。その点、マウスピース矯正は取り外して食べられるため、気にする必要がありません。

ただし、長時間取り外すとマウスピースが入らなくなる恐れがあるため、着け忘れには注意しましょう。

しっかり磨ける

ワイヤー矯正は、歯ブラシが届かない装置のすき間に汚れがたまるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。汚れを取るために、歯間ブラシやタフトブラシを使い、手入れに時間をかけなければいけません。マウスピースは歯を磨くときに取り外せるため、隅々までしっかり磨けます。

ただし、マウスピースは常に歯を覆っているため、唾液が循環しにくくなります。糖度が高いジュースは、マウスピースを取り外して飲むか、飲んだあとにうがいをするように心がけましょう。

痛みが少ない

ワイヤー矯正は、ワイヤーが粘膜に刺さったり金属が舌に当たったりするなど、口内が傷つくことがあります。

しかし、マウスピース矯正であれば、口内を傷つけるリスクはほとんどありません。ワイヤー治療のように歯を引っ張って動かすのではなく、マウスピース全体に力が分散されるため、痛みも少ないといわれています。

治療後のシミュレーションができる

マウスピース矯正は、治療前にスキャナー装置でシミュレーションし、マウスピースを製作します。

矯正終了後の状態を事前に確認できるため、モチベーションが上がり、安心感につながるでしょう。

通院間隔を長く空けられる

ワイヤー矯正は1か月おきの通院が必要ですが、マウスピース矯正は問題がなければ、2〜3か月に通院間隔を空けることが可能です。

受診回数が少ないため、留学や出産など通院が難しい場合にも融通がききます。

楽器やスポーツも安心できる

ワイヤーを装着していると、楽器を吹きにくい場合があります。激しいスポーツでは、ぶつかるとワイヤーが唇にあたりケガをするかもしれません。

マウスピース矯正ではそのような心配がないため、部活動に励む学生の方でも安心して治療が可能です。

金属アレルギーの心配ない

マウスピース矯正は金属を使用しないため、金属アレルギーの方でも安心して治療が可能です。

マウスピース矯正における注意点

暗闇の中にスポットライトで照らされたびっくりマークが置かれており、後ろにクエスチョンマークが複数置かれている

マウスピース矯正には多くの魅力がありますが、注意しなければならない部分もあります。

長時間装着する必要がある

マウスピースは好きなタイミングで取り外せますが、基本的には常に装着する必要があります。就寝時はもちろんのこと、短くても1日20~22時間は装着しなければいけません。

マウスピースを装着できない状態が続くと、修正が効かなくなる恐れがあります。マウスピースがはまりにくいなどトラブルが起こったら、早めに受診しましょう。

治療効果に本人の意志が関わる

取り外しが可能なマウスピースは、装着時間により治療の進行に差が出ます。食事後は洗ってすぐに着ける、寝る前に着け忘れないなど、ご自身が意識して行動しなければなりません。

マウスピースをまとめて受け取るときは、紛失や破損しないように丁寧に保管しましょう。

歯科医師の技術によって結果が左右される

マウスピース矯正は、矯正に熟知していない歯科医院でも治療できるからこそ、信頼できるところで治療することが重要です。

歯科医師の経験によって対応できる症例の範囲が異なります。金額のみで判断して治療を始めてしまうと、理想の状態から遠ざかり修正ができなくなるかもしれません。初回のカウンセリングで、今までの症例を見せてもらうなど、歯科医師任せにせず情報を集めるようにしましょう。

矯正後に保定装置の着用が必要である

矯正をして動かしたあとでも、歯は元の位置に戻ろうとする習性があります。そのため、ワイヤー矯正と同様、後戻りを防ぐために保定装置を使用しなければなりません。

治療後も装置の着用が必要であることを理解しておきましょう。

マウスピース矯正で八重歯を治療する場合にかかる期間・費用

カレンダーと白い電卓が置かれている

マウスピース矯正は何年かかるのか、費用はいくらかかるのか気になる方も多いでしょう。結論をいうと、治療にかかる期間・金額は歯科医院によって異なります。マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と同じく保険適用外のため、治療費は高額です。費用や治療計画を比較するためにも、いくつかの歯科医院で相談することをおすすめします。

マウスピース矯正の一般的な治療期間・費用の目安を以下にまとめてみました。

<マウスピース矯正で八重歯を治療する場合にかかる期間・費用>

矯正の範囲 部分矯正 全体の矯正
金額 200,000〜500,000円程度 800,000〜1,200,000円程度
期間 4か月~1年程度 1〜3年程度

ワイヤー矯正と同様、マウスピース矯正は医療費控除の対象です。

また、治療費の支払い方法は多くの歯科医院で分割払いができます。

マウスピース矯正で八重歯を治せない場合の治療法

青い背景の前でワイヤー矯正の装置付きの歯の模型を持っている

マウスピース矯正で八重歯を治せない場合はどうしたらいいのでしょうか。ここからは、マウスピース矯正で八重歯を治せない場合の治療法について解説していきます。

拡大装置で顎を広げる

拡大装置を使えば、顎を一気に広げることが可能です。そのため、マウスピース矯正に比べてかかる期間が短くて済みます。マウスピース矯正やワイヤー矯正と併用することもよくあります。

表側のワイヤー矯正

歯の表面にブラケットを付けて、そこにワイヤーを通して歯を動かします。金属ワイヤーのイメージが強いですが、白いブラケットや白いワイヤーのような目立ちにくい装置もあります。

裏側のワイヤー矯正

歯の裏側にブラケットを付けるワイヤー矯正です。装置が目立ちにくいメリットがありますが、表側のワイヤー矯正よりも時間がかかるのがデメリットです。

まとめ

男性歯科医師に治療を受ける女性が左手でグッドサインを出している

今回は、マウスピースを使った八重歯の治療について、期間やリスクを含めて解説しました。八重歯が治るだけでお顔全体が整って見えます。写真で見比べれば、笑顔の印象はずいぶん変わるでしょう。マウスピース矯正を取り扱う歯科医院は年々増えており、日本での症例数も増加しています。一度、歯科医院でカウンセリングを受けるとイメージがしやすくなるでしょう。治療を開始してから後悔しないように、歯科医院を選ぶときは症例数や費用を比較し、納得したうえで進めてください。

マウスピース矯正でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。