こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
近年、矯正治療を希望する人が増えています。厚生労働省が2020年に行った患者調査によると、矯正治療の初診者数は、2017年と比較して3.6倍にもなっています。また、男女別に見ると、男性患者は1.7倍、女性患者は4.8倍に増えています。矯正治療が年々人気になっていることがわかるでしょう。
参照元:「3年間で3.6倍と増加、最新の厚労省患者調査からわかる歯科矯正初診患者数」
そこで今回は、矯正治療の中でも特に人気のあるマウスピース矯正について説明したいと思います。
マウスピース矯正とほかの治療法の違い
矯正治療には、大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類があります。これらの違いを以下にまとめてみました。
歯を動かす仕組み
ワイヤー矯正は、ブラケットという小さな矯正装置とワイヤーを歯に装着することで行う治療法で、ワイヤーの元に戻る力を利用して歯を動かします。
一方、マスウスピース矯正は、現在の歯並びから少しずれたマスウスピースを装着し、このずれにより生じる力を利用して歯を動かします。
適応症例の範囲
ワイヤー矯正は、歯を大きく動かすことができるため、広い範囲の歯並びを治療することができます。
一方、マウスピース矯正は、歯を大きく動かすことができないため、治療できる歯並びは限られています。
取り外しの有無
ワイヤー矯正では、歯に矯正装置を装着するため、矯正治療中は矯正装置を取り外すことができません。
一方で、マウスピース矯正はマウスピースを自由に取り外すことができます。
矯正中のトラブルの頻度
ワイヤー矯正では、治療中に矯正装置が外れる可能性があり、場合によっては矯正装置が頬の粘膜や歯茎を傷つけることがあります。
一方、マウスピース矯正ではこのようなトラブルは比較的少ないです。
食べ物の制限
ワイヤー矯正では、食べ物が当たると矯正装置が外れる可能性があります。そのため、硬い食べ物を食べるときは注意が必要です。また、キャラメルなどの粘着性のある食べ物は矯正装置に付着する可能性があるため、控える必要があります。
一方、マウスピース矯正は、マウスピースを取り外して食事ができるため、食べ物の制限は特にありません。
マウスピース矯正のメリット・デメリット
次に、マウスピース矯正のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット
マウスピース矯正のメリットは、以下の2つです。
自由に着脱できる
マウスピースは自由に取り外すことができるため、装置を取り外した状態での飲食や歯磨きができます。そのほかにも、人前で話す必要があるときや運動を行うときなどにも装置を取り外すことができるため、日常生活におけるストレスは少ないでしょう。
目立たない
マウスピース矯正では、透明なマウスピースを使用し自由に取り外しができるため、目立ちにくいという特徴があります。
デメリット
マウスピース矯正のデメリットは、以下の2つです。
1日の装着時間が長い
マウスピース矯正で歯を動かすためには、マウスピースを1日20〜22時間以上装着する必要があります。装着時間が短いと、歯に十分な力を与えられず、治療期間が長引く可能性があります。
噛み合わせが変わることがある
マウスピースは、歯全体を覆っています。奥上から押さえつけられる力が奥歯に働くため、結果として奥歯の高さが低くなり、奥歯の噛み合わせが変化することがあります。
マウスピース矯正で治療できる症例・できない症例
専門用語で悪い歯並びのことを不正咬合(ふせいこうごう)といいます。不正咬合には、さまざまな種類があり、マウスピース矯正で治療できる不正咬合は限られています。
以下に、マウスピース矯正で治療ができる症例とできない症例をまとめました。
マウスピース矯正で治療できる症例
マウスピース矯正で治療できる症例は、以下の5つです。
軽度の叢生(そうせい)
叢生とは、歯並びが不揃いでボコボコしている歯並びのことをいいます。「乱杭歯」や「八重歯」がこれに該当します。本来の歯列から歯が大きくずれていない軽度の叢生であれば、マウスピース矯正で治療できます。
空隙歯列(くうげきしれつ)
空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間が空いている歯並びのことをいいます。いわゆる「すきっ歯」がこれに該当します。この症例もマウスピース矯正で治療できます。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは、上の歯が出ている歯並びのことをいいます。いわゆる「出っ歯」がこれに該当します。上顎前突には、歯が前に出ている場合と骨格的に上顎骨全体が前に出ている場合があります。歯が前に出ている場合はマウスピース矯正が適応となりますが、骨格的な原因がある場合は手術が必要になります。
下顎前突(かがくぜんとつ)
下顎前突とは、下の歯が出ている歯並びのことをいいます。いわゆる「受け口」がこれに該当します。下顎前突も、上顎前突と同様に歯が前に出ている場合と骨格的に下顎骨全体が前に出ている場合があり、歯が原因の場合のみマウスピース矯正で治療できます。
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合とは、噛み合わせが深いため奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯に覆いかぶさって、下の前歯が見えなくなる歯並びのことをいいます。奥歯の噛み合わせに問題がある場合は、マウスピース矯正で治療できます。
しかし、骨格的な問題がある場合は手術が必要です。
開咬(かいこう)
開咬とは、歯を噛み合わせた時に上下前歯が噛み合わず、隙間がある歯並びのことをいいます。舌を噛む癖などの舌癖(ぜつへき)などが原因で起こることがあります。マスウスピース矯正と並行して、舌癖がある場合はそちらの改善も行います。
マウスピース矯正で治療できない症例
マウスピース矯正で治療できない症例は、以下の4つです。
重度の叢生
マウスピース矯正では、歯を大きく動かすことができません。そのため、本来の歯列から歯が大きくずれていて歯を大きく動かす必要がある場合は、マウスピース矯正で治療ができません。
インプラントがある場合
インプラントは、骨に直接埋め込まれています。そのため、マウスピース矯正のような弱い力では動かすことはできません。
重度の歯周病
重度の歯周病がある場合、顎の骨が溶けています。この状態で矯正をすると、歯に加わる力が原因で歯が抜けてしまう場合があるため、マウスピース矯正では治療ができません。
骨格的な不正咬合
顎の骨格が原因で起こる不正咬合の治療は、手術を行う必要があります。そのため、マウスピース矯正では治療ができません。
マウスピース矯正の治療の流れ
マウスピース矯正の治療の流れは、以下のとおりです。
1.カウンセリング
マウスピース矯正を行う前にカウンセリングを行います。
カウンセリングでは、現在の歯並びのお悩みや矯正治療に対する疑問などをうかがい、説明を行います。また、お口の中を確認し、マウスピース矯正が可能であるかの判断も行います。
2.精密検査
カウンセリングを受けていただき、矯正治療をご希望される場合は精密検査を行います。
精密検査では、現在のお口の中の写真やレントゲンの撮影、歯型の採取などを行います。
3.治療計画の説明
精密検査の結果から歯並びの状態を評価し、治療計画を立てます。治療計画の決定後、治療のスケージュールや期間、費用などの説明を行います。
4.術前処置
マウスピース矯正を始める前に虫歯や歯周病がある場合は、こちらの治療を優先して行うことがあります。歯に汚れが付いている場合は、歯のクリーニングを行います。
5.マウスピース矯正
マウスピースの着脱の仕方や注意点などを説明します。
歯科医師の指示に従い、決められた期間装着したあとは、新しいマウスピースを装着します。お口の中や矯正の進行具合くを確認する必要があるため、定期的に通院します。
6.保定期間(ほていきかん)
矯正治療が終了してしばらくは、歯を支えている骨が不安定のため歯並びが元に戻ってしまうことがあります。これを防ぐために、保定装置と呼ばれる歯並びを保つための装置を一定期間装着します。
マウスピース矯正にかかる期間
マウスピース矯正にかかる期間の目安は、部分的に矯正が必要な場合は2か月~1年、全体的に矯正が必要な場合は1~2年程度必要です。また、矯正治療終了後は、元の歯並びに戻ることを防ぐために保定装置を1~2年装着する必要があります。
マウスピース矯正にかかる費用
マウスピース矯正は自費診療のため、歯科医院ごとにかかる費用は異なります。
大まかな目安としては、部分的に矯正を行う場合は約300,000~400,000円、全体的に矯正を行う場合は約700,000~100,000円です。
マウスピース矯正中に注意すること
マウスピース矯正中に注意することは、以下の3つです。
食事中はマウスピースを取り外す
マウスピース矯正中に食事をする際は、マウスピースを取り外してください。マウスピースを装着した状態で食事をすると、マウスピースが割れたり、マウスピース内に食べ物が溜まり虫歯や歯周病の原因になります。
装着時間を守る
マウスピース矯正で歯を動かすためには、マウスピースを1日20〜22時間以上装着する必要があります。装着時間が短いと、治療期間が長くなるため注意しましょう。
マウスピースの交換期間を守る
マウスピースは概ね10日ほど装着します。決められた期間マウスピースを装着したあとは、新しいマウスピースを装着しましょう。
まとめ
今回は、マウスピース矯正についてご説明しました。当院では、マウスピース矯正のカウンセリングを行っております。マウスピース矯正に少しでも興味がございましたら、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にお気軽にご相談ください。