こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
歯周病は歯を失う原因の一つです。30代以上の方の多くが歯周病にかかっているといわれており、年齢をへるごとに注意が必要になります。
歯科医院では歯周病治療が行われていますが、一度歯周病になると、元の状態には戻らないと聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回は、歯周病がどのような病気かを解説し、歯周病の進行を防ぐために歯科医院で行うことや、自宅でもできる対策についてお伝えします。
Contents
歯周病とは?

歯周病とは、歯茎や顎の骨などの歯を支えている歯周組織が炎症を起こした状態です。歯周病の原因は、歯周病原菌と呼ばれている細菌です。
歯磨きが不十分な場合、歯と歯肉の境目に歯垢(プラーク)が溜まります。ネバネバした歯垢の中には、1mgあたり1億個以上の細菌が生息しており毒素を作り出しています。この毒素によって、歯周組織に炎症が起こります。
初期段階では歯茎が腫れたり、出血したりします。このまま放置しておくと、歯肉の炎症が悪化し、歯周ポケットが深くなります。歯周ポケットの中は細菌が育ちやすい環境であるため、さらに細菌の数が増え、カルシウムやリン酸と結合して歯石に変化します。
歯石が増えると、それを足掛かりにさらに歯周ポケットの奥深くに歯周病菌が侵入します。悪化すると、歯を支える歯槽骨が溶かされるため歯が抜け落ちることもあります。
歯周病は、日ごろの歯磨きがしっかり行われず、磨き残しがあることによって進行していきます。また、タバコを吸う方や糖尿病の方は、歯周病が進行しやすいといわれています。金属やプラスチックの詰め物・被せ物には歯垢がつきやすいので、歯周病のリスクが高まるでしょう。
ホルモンバランスの乱れ、歯ぎしり食いしばり、ストレスなども歯周病を進行させる要因です。
歯周病は、30歳以上の約80%以上がかかっているといわれています。虫歯以上に初期段階では気づきにくく、気づいた時には進行しているケースもあるでしょう。
歯茎が腫れているように感じたり、歯磨きの際に出血したりした際は、早めに歯科医院に相談してください。
歯周病は治る?

歯周病が治るかどうかは、治るをどう定義するかによって異なります。歯周病にかかる前の状態に完全に戻すことを治るとするなら、治らないと言えるでしょう。適切な治療を受けて炎症を抑えて歯周病の進行を防ぎ、歯茎を健康的な状態にすることはできます。
しかし、重度の歯周病の場合、健康的な状態にすることも困難かもしれません。歯を支えている歯槽骨が大きく溶かされるほど進行している場合は、歯を守れないこともあるでしょう。
歯周病の悪化を防ぎ歯を残すためには、定期検診を受けて状態を確認してもらうことが重要です。
歯周病の進行を防ぐために歯科医院で行うこと

歯科医院では、歯周病の進行を防ぐために主に以下の治療を行っています。
基本治療
歯周病における基本治療とは、歯周病の原因である歯垢・歯石の除去や、歯の噛み合わせの調整などのことを指します。歯周病の進行度に関わらず、まずは基本治療からスタートするのが一般的です。
軽石のように硬い歯石は、超音波スケーラーやエアースケーラーなどで除去します。また、歯周病が進行したことによって歯がぐらぐらしている場合は、歯科用接着剤を用いて歯と歯を接着して改善するケースもあるでしょう。
基本治療を行った結果、歯周ポケットの深さが2~3mm程度になった場合、治療を終了します。その後は定期検診を行い、今の状態を維持します。
外科治療
基本治療を行っても歯周ポケットの深さが改善されない場合、外科治療を行います。深くなった歯周ポケット内で細菌が増え続け、歯周病が悪化するためです。
具体的には、以下の外科的治療を行ってポケットの深さの改善を図ります。
フラップ手術
スケーラーで除去しきれない、歯周ポケットの深い部分にある細菌や歯石を取り除く手術です。
麻酔を行って痛みを感じない状態にしたら、歯茎を切開して歯根を露出させます。歯根に付着している細菌や歯石などを除去し、再度付着するのを予防するために歯根を滑らかに整え、歯肉を元に戻し縫合します。
患部を露出させるため、徹底的に汚れや細菌を除去できることがフラップ手術の利点です。
しかし、手術後に歯茎が下がり、歯が長く見えてしまうことがあります。
歯周組織再生療法
歯周病が進行して骨が溶かされている場合、歯周ポケットを清掃して歯周ポケットの深さを改善しても骨は元に戻りません。この時に選択されるのが、歯周組織を再生させる歯周組織再生療法です。
歯周組織再生療法にはいくつか方法があり、そのひとつがGTR法です。GTR法では、歯周組織を再生させるために外から粘膜が入り込まないように特殊な膜を設置します。膜の中で、徐々に歯周組織が再生していくのです。
また、歯の周囲の組織を活性化し、歯周組織の再生をサポートする方法もあります。患者さま自身の口の中の骨や血液を採取して移植する場合、骨移植と呼ばれます。
歯周組織再生療法は、組織の再生を促すものです。すぐに治療が終わらず、場合によっては半年以上の時間が必要になるでしょう。
また、多くの場合自由診療のため費用の負担が大きく、手術であるため肉体的な負担も少なくありません。
歯を抜く
基本治療、外科的治療を行っても改善されない場合、抜歯を検討します。事情があって外科的治療を選択できず、基本治療だけでは進行を止められなかった場合も、残念ながら歯を抜くことになるでしょう。
歯を抜いた後は、インプラントや入れ歯、ブリッジなどで口腔機能を補います。
歯周病の進行を防ぐために自宅でできること

歯周病は、自然に治ったり自宅で行えるケアによって治ったりすることはありません。歯を磨いているうちに歯茎の腫れが落ち着いて出血が止まるケースはありますが、一時的に症状が軽減しただけです。
歯科医院で治療を受けない限りは、再び症状が現れ悪化することも考えられます。歯磨きだけでは、歯周病の原因である歯石を除去できないからです。
しかし、自宅でも歯周病の進行を防ぐためにできることはあります。少しでも進行を遅らせることができれば、基本治療だけで改善できるかもしれません。
歯周ポケットを意識しながら歯磨きする
歯周病を進行させるのは、歯周ポケットの中の汚れです。そのため、歯の表面だけを磨くのではなく、歯を歯茎の境目に歯ブラシを45度の角度で当てて、軽い力で歯ブラシを細かく動かして汚れを落としましょう。
慣れていない時は、鏡を見ながらどこに歯ブラシが当たっているかを確認して歯磨きしましょう。
自分に合うツールを使用する
歯周ポケットに届きやすいように、ヘッドが薄く毛先が細い歯ブラシを選んでください。また、歯並びの悪い箇所や奥歯は、通常の歯ブラシでは十分に汚れを落とせません。
ヘッドが小さく細い毛先のタフトブラシなども使って、磨きにくい箇所はピンポイントで磨きましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
汚れや歯垢がたまりやすい歯と歯の間をきれいにするために、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことを習慣にしましょう。歯間用ジェルを使って磨くと、清掃効果が高まります。
歯周病予防に特化した歯磨き粉を使用する
歯磨き粉の中には、歯周病菌を殺菌する成分や、歯茎の腫れ出血を抑える成分が含まれているものがあります。歯周病に悩んでいる方は、そうした歯磨き粉を使ってケアするとよいでしょう。
デンタルリンスで細菌の増殖を抑える
就寝中は唾液の分泌量が少なくなるため、通常よりも細菌が増殖しやすいです。そのため、殺菌効果のあるデンタルリンスを使ってケアしましょう。
生活習慣を正す
喫煙やストレス、睡眠不足なども、歯周病を悪化させる原因になります。そのため、禁煙したり、休養をとったりすることも大切といえるでしょう。
まとめ

歯周病にかかった場合、歯周病になる前の状態に戻すことは難しいでしょう。進行を止めて歯周組織の状態を落ち着けることは可能です。
そのためには、丁寧な歯磨きだけではなく、歯科医院での治療が必須でしょう。治療開始のタイミングが早ければ早いほど歯を守れる可能性が高まりますので、歯茎の腫れや出血が気になる方はすぐに歯科医院に相談してください。
歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。