こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。
歯がぐらぐらしているとしっかり食べ物を噛むことができず、ストレスを感じるでしょう。場合によっては歯が抜けることもあり、いずれ口腔機能を損なう大きな原因になります。
今回は、歯がぐらぐらすることと歯周病の関連性について解説し、歯周病を放置することの危険性、対処法や予防法などをご紹介します。
歯がぐらぐらするのは歯周病?
歯がぐらぐらする場合、生え変わりの時期を迎えている乳歯以外に、以下のような原因が考えられます。
重度の歯周病だから
歯がぐらぐらする大きな原因のひとつに、歯周病があげられます。初期の歯周病では、歯周病の原因菌の免疫反応により歯肉の炎症が起こります。
この時に治療を行っていれば問題ありませんが、放置すると歯周病菌が歯肉の内側にある歯槽骨を溶かすようになります。歯を支えている土台である歯槽骨が溶けてしまうと、歯が不安定になってぐらぐらします。
歯周病はステージ1~4に分類されます。歯がぐらぐらしている場合はステージ3~4であり、歯周病の最終段階といえます。そのため、通常の治療では回復が困難な可能性が高いでしょう。
歯の根が割れているから
転倒などによりお口を強打する、食いしばりや歯ぎしりの癖があるなど、強い負荷がかかって歯根が割れてしまうケースがあります。歯がしっかり支えられなくなるため、歯がぐらぐらするでしょう。
噛んだり会話したり、歯は日常的に使うため負荷がかかり続けます。そのため、できる限り早めに治療しましょう。
歯の根に膿が溜まっているため
歯の根の部分に膿が溜まっている状態を、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)といいます。この場合、膿が原因で歯槽骨が溶けてしまうので、歯がぐらぐらすることもあります。
歯周病の原因とは
歯がぐらつく大きな原因のひとつに、歯周病があることがわかりました。では、歯周病はどのような原因で発症するのでしょうか。
プラークの中にある細菌
歯に付着したプラーク(歯垢)の中にある細菌によって、炎症が起こると歯周病を発症します。プラークが多ければ多くなるほどリスクが高まるので、口内を清潔に保つことが非常に重要です。
歯磨きが不十分である
歯にプラークがつく原因は、歯磨きが不十分なことです。磨き残しがあると、プラークがついて細菌の温床となるので、食後はしっかり歯磨きする習慣をつけることが大切です。
また、プラークや歯石を歯磨きだけで完全に除去するのは難しいです。歯科医院で定期的にプロのケアを受けるようにしましょう。
生活習慣の問題
歯周病が進行しやすい要因として、歯ぎしりの癖があること、噛み合わせが悪いことなどが挙げられます。歯や歯茎に負担がかかりやすいため、歯周病を発症しやすく進行が早いとされています。
喫煙習慣がある方や、ホルモンバランスが乱れている方、全身疾患がある方も、歯周病のリスクが高いです。
歯のぐらつき具合でわかる歯周病の進行度
歯周病が原因であっても、いきなり大きくぐらつくようになるわけではありません。歯周病の進行度によってぐらつき具合がかわるので、その点もチェックしておきましょう。
歯のぐらつきの度合いは、動揺度といいます。動揺度は、以下のように表されます。
・0度:生理的範囲内
・1度:前後にわずかに動く
・2度:前後左右に動く
・3度:前後左右上下に動く
軽度の歯周病の場合の動揺度は1度、中程度では2度、重度では3度です。動揺度は歯科医院で検査してもらえます。
歯周病を放置すると危険?
歯周病を放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか
歯が抜け落ちる
歯がぐらぐらしていずれは抜け落ちてしまうでしょう。また、顎の骨が溶かされ土台である歯茎が不安定な状態になるため、その後の歯を補う治療にも支障をきたします。
顎の骨の厚みが不十分な場合、インプラント治療は受けられないかもしれません。入れ歯やブリッジも、安定せず噛みにくくなることもあるでしょう。
歯周病によって歯がぐらぐらすることで、噛み合わせが悪くなることも考えられます。
動脈硬化のリスクが高まる
歯周病菌は毒素を出すことがわかっていますが、それは動脈硬化の原因のひとつとされています。動脈硬化とは、血管が硬く、もろくなる症状です。
動脈硬化は、命に関わる脳梗塞や心筋梗塞につながります。口内の問題を放置すると、全身の健康に悪影響を及ぼすのです。
生活習慣病につながる
歯周病自体が、生活習慣病の一つです。生活習慣病は複数あり、一つの生活習慣病を患うと他の生活習慣病を発症するリスクが高まるといわれています。
特に、歯周病は糖尿病との関わりが非常に深いです。歯周病の方は糖尿病の薬が効きにくいので、糖尿病になると重症化しやすいといわれています。
歯周病を改善すれば、血糖値も改善されることが非常に多いです。
早産や胎児の低体重につながる
歯周病により妊娠中の女性の早産のリスクが高まることがわかっています。胎児の低体重にもつながると言われています。
妊娠中でも定期検診やお口のクリーニングを受け、治療が必要な方は体調と相談しながら治療しましょう。
誤嚥性肺炎のリスクが高まる
飲みこむ力や咳をする力が弱まると、食べ物や胃液などが誤って気管に入ってしまうことがあります。誤嚥した食べ物などが原因で起こるのが、誤嚥性肺炎です。
歯周病になると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。口内の細菌数が増加するので、誤嚥した際に炎症が起こる可能性が高まるためです。
歯周病への対処法
一度歯周病になってしまうと、元の状態に戻ることは難しいといえます。
しかし、歯科医院での適切な治療と継続的なセルフケアを行うことで、炎症を抑えることは可能です。歯科医院での治療は、歯周病の段階によって以下のように異なります。
初期の歯周病の治療方法
初期の歯周病の場合は、歯周病の原因になっている歯石をスケーリングで除去します。自宅でも丁寧なブラッシングを心がけることで、改善する可能性があります。
中度以降の歯周病の治療方法
歯周病が進行しており、中等度から重症の場合は、スケーリングだけでは不十分です。そのため、歯周ポケットの中にある歯石を除去します。
それでも症状が改善されない場合は、歯茎をメスで切開したうえでスケーリングやルートプレーニングを行うフラップ手術や、溶けてしまった骨を再生させる歯周組織再生治療など、歯周外科手術を行うこともあります。
歯周病の予防法
歯周病を治療することはできますが、歯茎を元の状態に回復させることは非常に困難です。そのため、できる限り歯周病にならないように予防することが重要といえます。
歯周病の予防法は、以下のとおりです。
食後の歯磨きを丁寧に行う
食後に丁寧に歯磨きすることを心がけましょう。歯ブラシで磨くだけではなく、歯と歯の間に食べかすがたまらないように、歯間ブラシやデンタルフロスも使用してください。
外出先など、時には歯磨きができない場合もあるかもしれません。その場合はうがいするなど、できる限り口内に食べカスを残さないように意識しましょう。
定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受けることで、歯周病を早期に発見し治療することが可能です。また、セルフケアだけでは除去しきれなかったプラークや歯石を、歯科医院でのクリーニングで定期的にきれいにしてもらいましょう。
食事のタイミングや内容に気をつける
歯周病になりやすい環境を作らないことも大切です。できる限り間食をしない、飴やガム、甘い飲み物などを口にし続けることを避けるなど、食生活を改善しましょう。
まとめ
歯がぐらぐらするのは、歯周病がある程度進行しているサインといえます。わずかに動くだけであるなら、初期治療によってある程度改善が見込めます。
前後左右に動く場合は、歯周病が進行していると考えられます。歯周ポケット内の歯石の除去やフラップ手術、歯周組織再生治療など、負担がかかる治療が必要になることがあります。
歯周病が進行するほど、治療期間が長くなります。症状が落ち着いても再び悪化する可能性も高くなるでしょう。そのため、歯周病は予防することが非常に重要です。
日ごろのセルフケアと、歯科医院での定期検診やお口のクリーニング、食生活に注意して予防しましょう。歯科医院ではセルフケアのアドバイスも行っているので、定期検診の際に自分に合った磨き方を確認しましょう。
歯周病や歯のぐらつきでお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」にご相談ください。